【まさかの雇用統計発表延期】米政府閉鎖で大混乱…代わりに「ISM製造業景気指数」で利下げの可能性を探ってみる

みなさんこんにちは。本来であれば、今日は市場が最も注目する「雇用統計」の結果を深掘りする予定でした。しかし、まさかのアメリカ政府機関の一部閉鎖(シャットダウン)により、その発表が延期となってしまったのです。経済指標ウォッチャーとしては予期せぬ事態ですが、市場の不透明感が高まる中、私たちは立ち止まるわけにはいきませんよね。

そこで今回は、急遽予定を変更し、昨日発表された「ISM製造業景気指数」のデータから、今後のアメリカの金融政策、特に市場が熱く期待している「利下げの可能性」について、じっくりと考察していきたいと思います。


1. 雇用統計延期の背景

まず、なぜ雇用統計が延期になったのでしょうか。原因は、アメリカの政府機関の一部閉鎖にあります。アメリカでは10月1日から新しい会計年度が始まりますが、それまでに次年度の予算案が議会で可決されなかったため、政府機関は原則として活動停止せざるを得なくなりました。

これには、雇用統計を作成・発表している労働省の労働統計局(BLS)も含まれます。これにより、雇用統計のような重要な公的経済指標の発表がストップしてしまったのです。閉鎖が長引けば、単にデータ発表が遅れるだけでなく、実際の経済活動にも悪影響が出始めるため、早期の正常化が望まれます。

2. ISM製造業景気指数が示す景気の足元

代わりにご紹介するのが、全米供給管理協会(ISM)が毎月発表する「ISM製造業景気指数」です。これは、製造業の購買担当者にアンケート調査を行い、新規受注や生産活動、雇用の状況などを集計して指数化したもので、「50」を景気拡大と縮小の境目としています。速報性が非常に高いため、景気の先行指標として常に注目されています。

そして、先日発表された9月の結果は「49.1」でした。これは市場予想(49.0)や前月(48.7)をわずかに上回ったものの、7ヶ月連続で50を下回るという事実が重くのしかかります。つまり、製造業セクターの縮小傾向が続いていることを強く示唆しているのです。

特に注目すべきは、景気の先行を示すとされる新規受注の指数が48.9に再下落したこと、そして雇用指数が45.3と依然として50を大きく下回っていることです。これは、製造業における人員削減や採用凍結の動きが続いていることを示しており、景気の弱さが鮮明になっています。

3. インフレ圧力との複雑な混在

一方で、インフレに関連する仕入れ価格指数は「61.9」と、まだ高い水準にありますが、これで3ヶ月連続の低下となりました。原料コストの上昇圧力が少しずつ和らいでいる可能性を示唆しています。

しかし、景気減速を示す弱いデータ(総合指数、新規受注、雇用)と、依然として高水準の価格指数が混在しているのが、今の状況の非常に悩ましい点です。景気は弱いけれど、物価の火種はまだ燻っているという、FRB(米連邦準備理事会)にとって複雑な局面が続いているのです。

4. 市場の前のめりな利下げ期待

このような複雑な結果にもかかわらず、市場の利下げ期待は非常に根強いものがあります。市場は、価格の動向よりも「景気の弱さ」を重視していると言えます。

CME FedWatchツールによると、次回のFOMC(金融政策決定会合)で0.25%の利下げが実施される確率は、なんと約89%と、ほとんど確実のように織り込まれていました。また、今回の政府閉鎖が長引けば、経済への下押し圧力が強まるため、FRBが予防的に利下げに踏み切る可能性を高めるのではないかという見方まで出ています。皮肉にも、政府閉鎖が利下げを後押ししている側面もあるのです。

しかし、FRB自身は「データ次第」という慎重な姿勢を崩していませんし、一部の交換からはインフレに対する警戒感から、利下げに慎重な「高派的」な発言も出ています。市場の期待がそのまま実現するかどうかは、まだ不透明と言わざるを得ません。

5. 投資家が取るべき冷静なスタンス

一般的に、利下げは企業の借入コストを下げ、経済活動を活発にするため、株式市場にとってはポジティブな材料とされます。特に、将来のキャッシュフローの割引率が低下することから、ハイテクなどの成長株は恩恵を受けやすいと考えられています。現在の株高も、こうした利下げ期待が背景にある面は無視できません。

しかし、今の市場には「悪いニュースが良いニュース」、つまり景気減速という悪いニュースが「利下げ期待」という良いニュースに変換されて株価が押し上げられている、不健全な側面も存在します。実体経済の改善を伴わない株価上昇は、持続可能性に疑問符がつくのです。

私たちは今、景気減速による利下げ期待と、AIブームのような未来への成長期待が同居する、不確実性の高い局面にいます。政府閉鎖の長期化リスク、データ不足による不透明感、インフレ再燃リスクなど、見過ごせないリスクも山積しています。

このような時こそ、特定のシナリオに固執するのではなく、常に多角的に情報を収集し、冷静さを保つことが何よりも大切です。短期的な市場の変動に心を揺さぶられることなく、ご自身の投資目標やリスク許容度を改めて確認し、それに基づいて行動することが、成功への鍵となります。今は情報が少ない時期でもあるため、焦って積極的な売買をせず、状況がクリアになるまで待つというのも立派な戦略と言えるでしょう。


この複雑な状況を理解することは、今後の投資判断に必ず役立つはずです。この情報が、あなたの投資のヒントとなれば幸いです。


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