【AIブームのつるはし企業を狙え】注目のネオクラウド「IREN」「Nebius」「CoreWeave」を徹底比較!

皆さま、こんにちは。最近のAIブームは本当に目覚ましいものがありますね。まるで現代のゴールドラッシュを見ているようです。しかし、この熱狂の裏で、金鉱を掘るための「つるはし」を供給し、急成長を遂げている企業群があるのをご存知でしょうか。

彼らこそが、今回ご紹介する「ネオクラウド」と呼ばれるAI特化型のクラウド事業者です。今日は、AI時代のインフラを支えるこの新しい力の全貌と、注目すべき3社(アイレン、ネビウス、コアウィーブ)の特徴、そして投資における光と影を分かりやすく解説してまいります。

ネオクラウドとは何か?—巨大ITをも動かす存在

そもそも、ネオクラウドとは一体何なのでしょうか。一言で言えば、「AI開発に必要な高性能GPUを専門に提供することに特化したクラウド事業者」です。

大規模言語モデル(LLM)の開発や学習には、画像を処理する半導体であるGPUが大量に必要になります。しかし、AIの進化があまりにも急激なため、必要な計算パワー、つまりGPUの需要が爆発的に増加しました。その結果、AWSやAzure、Google Cloudといったハイパースケーラーと呼ばれる巨大クラウド企業でさえ、最新GPUの供給が追いつかないという状況が生まれているのです。

AI開発競争の最前線では、最新GPUの確保が死活問題となっており、ネオクラウドは、この需要と供給の大きなギャップを埋める存在として急速に存在感を増しています。彼らはNVIDIAの最新GPUなどをハイパースケーラーよりも早く、大量に調達し、AI開発企業や、場合によってはハイパースケーラー自身に貸し出すというビジネスモデルを展開しているのです。

注目ネオクラウド3社の特徴を徹底比較

このネオクラウド市場で特に注目を集めているのが、「アイレン(Iris Energy)」「ネビウス(Nebius)」「コアウィーブ(CoreWeave)」の3社です。それぞれがユニークな強みと戦略を持っています。

1. アイレン(IREN):低コスト電力とサステナビリティの追求

アイレンは、元々オーストラリアでビットコインマイニング事業からスタートした企業です。彼らの最大の武器は、データセンターを100%再生可能エネルギーで動かしている点にあります。このクリーンな電力調達戦略により、1キロワットアワーあたり約3.3セントという驚くほど安価なコストで電力を調達できる力を持ちます。

これは、AIを動かすという時代の潮流にも合致しており、コスト競争力という面で非常に大きなアドバンテージとなっています。データセンターの設計から運営までを自社で行う「垂直統合モデル」も強みです。

この競争力が評価され、最近ではマイクロソフトと5年間で約97億ドル規模という巨大なAIクラウド契約を獲得しました。契約には20%の前払いも含まれており、財務的にも大きな追い風となっています。

業績も急成長しており、2025年度には黒字転換を達成する見込みで、特にAIクラウド部門の利益率が高いことも報告されています。ただし、株価は急騰しPR(株価収益率)は100倍を超える水準にあり、市場の期待は非常に高いと言えます。一方で、収益の多くは依然としてビットコインマイニングに依存しているため、ビットコイン価格の変動リスクには注意が必要です。

2. ネビウス(Nebius):ビッグディールと野心的な成長目標

ネビウスはヨーロッパを拠点とする企業で、元々はロシアのIT大手ヤンデックスの欧州事業などがスピンオフして設立されたというユニークな成り立ちを持ちます。

彼らもまた、マイクロソフトと非常に大きな契約を締結しており、その規模は5年間で最大194億ドルと、アイレンを上回る巨額です。さらに、メタ(Meta Platforms)とも5年間で30億ドル規模の契約を結んでおり、マイクロソフトとメタという巨大テック企業が主要顧客となっています。

現在、提供できるGPUキャパシティは完売状態と公言するほど需要が旺盛です。業績面では、2025年第3四半期の売上が前年同期比で355%増と驚異的な成長を見せていますが、データセンター建設などの大規模な先行投資を行っているため、現時点では赤字が続いています。しかし、会社は2026年末までに年間売上レート(ARR)を70億ドルから90億ドルに引き上げるという、非常に野心的な目標を掲げています。市場は、この先行投資が将来巨大なリターンをもたらすと期待しているわけですね。

3. コアウィーブ(CoreWeave):幅広い顧客基盤とIPO後の課題

コアウィーブはアメリカを拠点とする代表的なネオクラウド企業で、こちらもイーサリアムのマイニングから事業転換した経緯があります。

彼らの特徴の一つは、顧客が使用しているGPUが期待通りの性能を発揮しているかを確認・管理できる独自のソフトウェア「ミッションコントロール」を提供している点です。また、アメリカとヨーロッパで合わせて32拠点を運営する、かなりの規模のデータセンターネットワークを持っています。

顧客基盤が比較的広いのが特徴ですが、最大の顧客はやはりマイクロソフトで、2024年の売上の6割以上を占めています。さらに、オープンAIとも合計で160億ドル近い大規模契約を結んでいるほか、Googleも顧客リストに名を連ねています。これは、GoogleがオープンAIに対して計算能力を提供するためにコアウィーブのインフラを間接的に利用しているケースもあると考えられています。

2024年の売上は19億ドルを超え、2025年3月にはNASDAQに上場しました。しかし、最近になって提携するデータセンター建設の遅れを理由に通期の売上予測を下方修正し、株価が下落する場面もありました。また、市場の競争激化やGPUコストの上昇によって、今後利益率が圧迫されるのではないかというアナリストからの指摘も出ています。急成長の裏側で、実行リスクや競争環境の変化といった課題も見え隠れしている状況です。

なぜ巨大IT企業はネオクラウドに依存するのか

ここで素朴な疑問が浮かびます。マイクロソフトやGoogleといった企業は、自前で世界最大級のクラウド基盤を持っているにもかかわらず、なぜわざわざネオクラウドと何百億ドルもの巨額契約を結ぶ必要があるのでしょうか。

最大の理由は、シンプルに**「自前だけでは足りないから」**です。AI開発競争で優位に立つためには、NVIDIAの最新世代のGPUを「とにかく早く、大量に」確保したいという切実なニーズがあります。

ネオクラウド企業は、最新GPUの調達と、それを効率的に動かすデータセンター構築にリソースを集中させています。自社の調達力や建設ペースだけでは、AI競争のスピード感についていけない可能性があるため、ハイパースケーラー側も、外部の専門家であるネオクラウドのリソースを積極的に活用し、開発のボトルネックを解消しようとしているのです。自分たちで一から全てをやるよりも、専門特化したプレイヤーから借りる方が早く、効率的だと判断されているわけですね。

投資対象としてのリスク要因

ネオクラウド企業はAIブームの「つるはし」供給者として非常に有望に見えますが、投資対象としていくつかの重要なリスク要因を認識しておく必要があります。

1. 顧客依存リスク

アイレンやコアウィーブはマイクロソフトへの売上依存度が非常に高いです。ネビウスもマイクロソフトとメタという巨大顧客への依存度が高い構造です。もし特定の大口顧客の方針や契約が見直されれば、業績に甚大な影響が出る可能性があります。

2. 競争リスク

ハイパースケーラーが今後、AIインフラのキャパシティをさらに強化し、価格競争力や既存サービスとの統合力でネオクラウドと直接競合してくる可能性は十分に考えられます。体力勝負になった場合、ネオクラウドは厳しい戦いを強いられるかもしれません。

3. 実行リスク

何百億円、何千億円もかかる大規模なデータセンターの建設は、許認可の遅れやサプライチェーンの問題などで、計画通りに進まないことが多々あります。コアウィーブの事例のように、建設の遅延はそのまま収益機会の損失と市場の信頼低下に直結します。

4. 財務リスク

このビジネスは極めて資本集約的であり、継続的に巨額な設備投資が必要です。事業を拡大し続けるためには、安定した資金調達能力と、投資に見合った利益率を維持できるかどうかが生命線になります。

5. マクロ・技術的リスク

そもそもAIブーム自体がこのペースでいつまで続くのか、という市場全体のリスクがあります。さらに、AI技術の進化によって、例えばより効率的なAIモデルが登場したり、GPUに代わる新しい計算基盤が出てきたりする可能性も否定できません。

まとめ:短期的な追い風と長期的な持続可能性

短期的には、AI開発、特に大規模な学習や推論に必要な計算能力への渇望は間違いなく続くでしょう。この強力な追い風を受け、ネオクラウド企業は当面、高い成長を維持する可能性が高いと言えます。アイレンの再生可能エネルギー100%の取り組みのように、専門性とユニークな強みが現在の競争優位性となっています。

しかし、どんなゴールドラッシュにも終わりがあるように、ネオクラウド企業がこうした市場の変化や技術の進化にどう適応し、ビジネスモデルを進化させ続けられるかどうかが、彼らの長期的な価値を決める上で最も重要なポイントになります。

投資を考える際には、アイレンのサステナビリティ戦略、ネビウスの野心的な成長目標、コアウィーブの幅広い顧客基盤といった各社の特徴、強み、そして今回お話ししたようなリスクを総合的に評価し、ご自身の投資戦略と照らし合わせてじっくりと比較検討することが何より重要になるでしょう。


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