2025年最後のFOMC!利下げ確実?個人投資家が知っておくべき「3つの鍵」とは

2025年も残すところあとわずかとなり、投資家たちが固唾を呑んで見守る年内最後のビッグイベント、FOMC(連邦公開市場委員会)がいよいよ目前に迫ってきました。

今回のFOMCは、単に「金利が下がるか下がるか」という話だけでは終わらない、非常に複雑かつ重要な局面を迎えています。市場関係者の間でも「判断が難しい」「パズルを解くような面白さがある」と言われる今回の会合。一体何がそんなに特別なのでしょうか。

もし利下げが行われたら、あるいは見送られたら、私たちの投資資産はどうなってしまうのか。今回は、この大注目イベントを徹底的に深掘りし、個人投資家が迷わずに相場と向き合うためのポイントをお伝えしていきたいと思います。

まず押さえておきたいのが、今回のFOMCがとんでもなく「異常な状況」で行われるということです。その原因は、少し前にアメリカで発生した政府閉鎖にあります。

具体的には、雇用統計や消費者物価指数(CPI)といった、市場を動かす超重要指標の発表がストップしてしまいました。10月分のデータは発表中止、11月分もFOMCが終わった後の16日まで出てこないという事態になっています。

これは例えるなら、天気図を一切見ずに台風の進路を予測するようなものです。FRBのメンバーたちは、最新の公式データをほとんど見ることができないまま、手探りで金利を決めるという非常に難しい判断を迫られているのです。まさに「データなき利下げ議論」という、前代未聞の事態が起きているわけです。

ジェットコースターのように乱高下する市場心理

そんな暗闇の中での航海ですから、市場の雰囲気もジェットコースターのように激しく変動しました。

もともとFRBは9月、10月と2回連続で利下げを行っていたため、市場は当初「この流れで12月も当然利下げだろう」と完全に楽観ムード、いわゆる「3度目の正直」を期待していました。

ところが、10月のFOMC後にパウエル議長が「12月の追加利下げは既定路線ではない」と釘を刺したことで状況は一変します。この一言で市場は冷や水を浴びせられ、さらにインフレ退治を優先する「タカ派」のメンバーたちが「まだインフレは高い」「気を緩めるな」と追撃したことで、11月半ばには12月の利下げ確率予想がなんと3割程度まで急落してしまいました。

「もう利下げはないのではないか」というムードが漂う中、今度は逆の展開が待っていました。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁という、パウエル議長に近い中心人物が「インフレのリスクより景気が悪くなるリスクの方が心配だ」と発言し、利下げを強く支持したのです。これに他の有力メンバーも続いたことで、市場のムードは180度転換。利下げ確率は一気に8割以上に跳ね上がりました。

FRB内部での発言の駆け引きだけで、市場心理がこれほどまでに揺さぶられる。それほどまでに現在の相場は繊細で、予測不能な動きを見せているのです。

「利下げ=株価上昇」という単純な方程式の罠

さて、利下げ確率が8割を超えている現在、「じゃあ利下げは決まりで、株価も上がるだろう」と単純に考えてしまいがちです。しかし、ここが最大の注意点であり、多くの個人投資家が陥りやすい罠でもあります。

確かに12月に0.25%の利下げが行われる可能性は非常に高いです。しかし、その事実自体はすでに確率8割以上として株価に完全に「織り込み済み」なのです。つまり、予想通りに利下げが発表されたとしても、それだけで株価が大きく上がるというサプライズ要素はもうありません。

本当に重要なのは、利下げと同時に発表される「今後の見通し」、そしてパウエル議長の記者会見での「言葉選び」です。

もし議長が「今回は利下げするけれども、これで打ち止めかもしれない。今後のことはあくまでデータ次第だ」という慎重な姿勢を崩さなかったらどうなるでしょうか。市場はこれを「タカ派的利下げ」と受け止めます。「利下げはしてやるが、次は期待するなよ」というメッセージです。そうなると、市場の期待が剥がれ落ち、株価の上昇は限定的になるか、あるいは「がっかり売り」で一時的に下落する可能性すらあります。

逆に、万が一市場の予想を裏切って「利下げなし(金利据え置き)」という決断が下されたらどうなるか。短期的には間違いなくショックが走り、株価は急落するでしょう。しかし、パニックは長続きしない可能性があります。なぜなら、もし据え置きにするとしても、パウエル議長は必ず「ハト派」に配慮し、「今回は見送るが、来年1月以降に利下げする可能性は十分にある」というメッセージを強く匂わせるはずだからです。

現在のFOMC内部はタカ派とハト派の意見が真っ二つに割れており、議長にはどちらの顔も立てなければならない高度なバランス感覚が求められています。利下げするかどうかという事実以上に、その後のメッセージがすべてを決めると言っても過言ではありません。

個人投資家が注目すべき「3つの鍵」

このように複雑な状況下で、私たち個人投資家は何を指針にすればよいのでしょうか。目先の株価変動に振り回されず、どっしりと構えるために押さえておくべき「3つの鍵」をご紹介します。

1. 金融相場の「逆説」を理解する

まず1つ目は、「金融相場の逆説」を理解することです。

通常、失業率が上がった、企業の売上が落ちたといった「景気が悪くなるニュース」を聞くと、私たちは「株価にはマイナスだ」「自分の給料も減るかもしれないから株なんて買っている場合じゃない」と考えがちです。

しかし、今のプロの投資家は全く逆の発想をします。「景気が悪い?素晴らしい。これでFRBは利下げせざるを得なくなるぞ。市場にお金がジャブジャブ供給されるから、株は今のうちに買いだ」と考えるのです。

これはまるで、人が溺れているのを見て「よし、救助隊が浮き輪を投げてくれるぞ。あの浮き輪に賭けようじゃないか」と言っているようなもので、少し不謹慎に聞こえるかもしれません。しかし、この「悪いニュースは良いニュース(Bad news is Good news)」というねじれた論理こそが、金融相場の本質なのです。

実際に、悪い経済指標が出た日に株価が急騰するという現象は何度も起きています。ですから、もしあなたがニュースで何か悪い経済データを見ても、慌てて持ち株を売らないこと。これが1つ目の重要なポイントです。

2. FRBの未来予想図「ドットチャート」

2つ目の鍵は、今回の利下げそのものよりも重要視されている「ドットチャート」です。

これは3ヶ月に1度だけ公表されるもので、FOMCのメンバー一人一人が「将来の金利がどのくらいの水準にあるのが適切か」を無記名の点で示したグラフです。無記名ではありますが、メンバーの本音が如実に現れるため、市場にとって最高の手がかりとなります。

なぜこれが重要かというと、この点々の分布を見ることで、「来年(2026年)にFRBが全体として何回くらいの利下げを考えているか」が透けて見えるからです。

現在、市場は来年「3回程度」の利下げを期待し、それを株価に織り込んでいます。もし今回発表されるドットチャートがそれより少ない、例えば「利下げは1回か2回で十分」という分布になっていたらどうなるでしょうか。「FRBは市場が思うほどハト派じゃないぞ」と失望が広がり、株価は大きく下がる可能性があります。逆に、市場の期待以上に利下げ回数が多ければ、お祭り騒ぎになるでしょう。

12月の利下げはあくまで「点」の動きですが、ドットチャートは来年1年間の「線」の動きを示唆します。だからこそ、市場は議長の公式発言以上に、この点々の集合体を必死に分析するのです。

3. 次期FRB議長人事という「政治的圧力」

そして最後の3つ目は、さらに大きな視点、来年以降のマーケットの流れを左右する「次期FRB議長人事」です。

現在のパウエル議長の任期は来年の5月まで。すでにトランプ大統領による後任選びの水面下の動きが始まっており、市場もこれを注視しています。ここで最有力候補として急浮上しているのが、国家経済会議(NEC)の委員長を務めるケビン・ハセット氏です。

ハセット氏はコロンビア大学で博士号を取得し、FRBでの勤務経験もあるエリートですが、同時にトランプ大統領への忠誠が非常に厚い側近としても知られています。そして何より重要なのが、彼が「超」がつくほどの積極金融緩和派、つまり「超ハト派」であるという点です。あるインタビューでは「もし私が議長なら今すぐにでも利下げする」と公言して憚らないほどです。

なぜ今、ハセット氏の名前がこれほど話題になっているのか。そこにはトランプ大統領の巧みな戦略が見え隠れします。大統領が意図的にハセット氏の名前をメディアにリークすることで、現職のパウエル議長に対し「言うことを聞かなければ、次はお前のような奴は選ばないぞ。ハセットのような緩和派を選ぶぞ」という無言の圧力をかけ、自分の意向に沿った金融緩和を迫っているという構図です。

パウエル議長にとっては非常にやりにくい状況でしょう。また、あまりに政権に近い人物が中央銀行のトップに就くことに対し、債権市場などからは「中央銀行の独立性が損なわれるのではないか」という懸念の声も上がっています。これは国の通貨の信認にも関わる深い問題です。

今回のFOMCの結果はもちろん重要ですが、そのさらに先にある「FRBの体制変化」という大きな視点を持っておくことで、短期的な値動きに惑わされず、冷静に市場を見ることができます。

まとめ:歴史的瞬間をワクワクしながら迎えよう

今回の話をまとめます。

来週のFOMCでは利下げの可能性が高いですが、本当に大事なのは「利下げしたかどうか」という事実ではなく、その後のパウエル議長の言葉選びや、同時に発表される未来のシナリオです。

私たち個人投資家は、短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、以下の3つの鍵を持つことが大切です。

  1. 悪いニュースで株が上がる「金融相場の逆説」を理解し、慌てて売らない。
  2. 来年の利下げペースが読める「ドットチャート」に注目し、FRBの本音を探る。
  3. さらにその先の「FRB議長人事」まで見据え、政治的な背景も考慮に入れる。

この視点があれば、市場の動きがただのノイズではなく、意味のある物語として見えてくるはずです。ビクビクしながら待つのではなく、ワクワクしながらこの歴史的な瞬間を迎えましょう。

投資の世界は奥が深く、知れば知るほど面白いものです。今回のFOMCがどのような結末を迎えるのか、ぜひあなた自身の目で確かめてみてください。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。良い投資ライフを。


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