トランプ大統領の「中国への100%追加関税」表明で市場大混乱- 投資家が知るべき「3つのシナリオ」と「5つの投資戦略」

10月10日の米国株式市場は、まさに激震に見舞われました。トランプ大統領による、中国製品に対する「100%の追加関税」という衝撃的なニュースが飛び込んできたためです。この発表は、世界経済の先行きの不透明感を一気に高め、市場はリスクオフムードに包まれました。

激化する米中対立の背景

なぜ、再びこのような事態になったのでしょうか。直接的な引き金は、中国側が「レアアース」関連の輸出規制を強化したことです。レアアースはハイテク製品や防衛産業に不可欠な資源であり、アメリカ側はこれを「世界経済を人質に取る行為」だと強く反発しました。

トランプ大統領は、この中国の動きに対する対抗措置として、現行の関税に加えて、さらに「100%の追加関税」を11月1日から課す意向を表明しました。この問題は単なる経済摩擦に留まらず、アメリカの国家安全保障上の脅威として捉えられている点も、対立の根深さを示しています。これは、国家安全保障を理由に関税措置を認めるアメリカの法律(通商拡大法232条)を根拠としている可能性も指摘されています。

市場の反応と影響を受けたセクター

この発表を受け、株式市場は即座に反応しました。ニューヨーク証券取引所では、「ダウ平均株価」が「878ドル安」と大きく下落し、「S&P500指数」やハイテク株中心の「ナスダック総合指数」も、半年ぶりの大きな下げ幅を記録しました。市場の不安を示す恐怖指数(VIX指数)も急上昇し、市場心理が一気に冷え込んだ格好です。

特に下げを主導したのは、これまで相場を牽引してきたアマゾンやNVIDIA、テスラといった「マグニフィセント・セブン(M7)」を含むテクノロジー株や一般消費財セクターでした。相場の牽引役であった銘柄ほど、このようなニュースには敏感に反応しやすいと言えます。

日本企業も無関係ではありません。自動車や電子機器、素材といった輸出関連企業は影響を注視する必要がありますが、影響度は企業によって異なります。例えば、アメリカ国内での生産比率が高い企業は関税の影響に比較的耐性がある一方で、サプライチェーン全体への影響や、世界経済の悪化による最終製品の需要落ち込みリスクは共通して抱えています。サプライチェーンの再編コストなど、間接的な影響まで見極めることが重要です。

今後の展開を予測する3つのシナリオ

この状況が今後どうなっていくのか、動画では大きく分けて三つのシナリオが考えられると解説されています。

ケース1:100%追加関税が予定通り実行される場合

これは市場にとって最も厳しいシナリオです。世界経済への悪影響は避けられず、特に貿易依存度の高い国や企業は大きな打撃を受けます。企業はサプライチェーンの「脱中国」をさらに加速させ、米中対立は決定的なものとして長期化する恐れがあります。輸入品の値上がりを通じて、最終的にはアメリカの消費者にも負担が及びます。

ケース2:中国側が妥協案を示す場合

トランプ大統領も交渉の余地を残しており、もし中国側がレアアース規制を撤回するなど態度を軟化させれば、関税発動が見送られたり、税率が引き下げられたりする可能性があります。市場は一時的に安堵するでしょうが、根本的な対立構造が解消されない限り、不安定さは残ります。月末のAPEC首脳会議などが注目されます。

ケース3:膠着状態が長期化する場合

関税の発動をチラつかせながら部分的な交渉を繰り返す、中途半端な状況が続くパターンです。この場合、市場はニュースに一喜一憂し、ボラティリティ(価格変動幅)の高い状態が続くでしょう。企業は地政学リスクを常に織り込みながら、コストをかけてサプライチェーンの分散を進めることになります。

個人投資家が取るべき5つの行動戦略

このような不透明な時代だからこそ、「トランプ劇場」が再開したという認識を持ち、私たち個人投資家は冷静に対応することが求められます。以下の五つのポイントを再確認しましょう。

  1. 過度な楽観は禁物であること。
    • これまでの上昇相場に慣れていても、急落リスクに備え、冷静さを保つことが大切です。
  2. 分散投資の重要性を再認識すること。
    • M7のような大型ハイテク株への集中投資はリスクが高まっています。セクターや地域を分散し、ポートフォリオの安定化を図りましょう。インデックス投資であっても、その中身の集中リスクを意識することが重要です。
  3. 個別銘柄の選別を重視すること。
    • 単にテーマ性だけでなく、個々の企業が米中対立に対する「耐性」を持っているか、サプライチェーンの強さやコスト転嫁能力といったファンダメンタルズをより慎重に見極めましょう。企業の自力が試される局面です。
  4. キャッシュポジションの確保も有効な戦略であること。
    • 不透明な時期は無理にポジションを取らず、現金を多めに確保しておくことで、次の投資チャンスを冷静に伺うことができます。
  5. AI投資に対する見方が変化している可能性を意識すること。
    • 今後は、巨額の投資額だけでなく、その投資によってどれだけコスト削減や効率化が実現できているかという「実利的な側面」が評価される流れに変わっていくかもしれません。

トランプ劇場が再開し、市場は神経質な展開が続きそうです。しかし、こういう時こそ情報に振り回されず、ご自身の投資戦略やリスク許容度を再確認する良い機会だと捉えましょう。焦らず、じっくりと、この大きな転換期を乗り越えていきたいものですね。


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