ロブロックス(Roblox)はメタバース時代のロックスター?時価総額は任天堂越え!マイクラやフォートナイトとの違いや将来性は?

「子供の遊び場」にあらず

最近、投資の世界で「新しいロックスター」として注目を集めている企業があります。それが、ゲームプラットフォームの「ロブロックス(Roblox)」です。かつては「子供向けのゲーム」という一面的なイメージが強かったロブロックスですが、その実態は単なるゲーム会社の枠を超え、次世代のインターネットの形を担うかもしれない、巨大で奥深いプラットフォームへと進化しています。今回は、ロブロックスの驚異的なスケールと独自のビジネスモデル、そして今後の可能性とリスクについて深掘りしてまいります。

驚異的なスケール:ユーザー数と経済圏

ロブロックスの規模は想像を絶します。時価総額はおよそ15兆円規模に達し、日本の大企業と比べても遜色ないレベルです。さらに驚くべきはユーザー数です。2025年第2四半期のデータでは、1日のアクティブユーザー数(DAU)が1億118万人を超え、月間アクティブユーザー数(MAU)は推定3.8億人以上という、ゲーム配信プラットフォームのSteamやPlayStationネットワークを遥かに凌ぐ規模を誇ります。ユーザーはただログインしているだけでなく、四半期の総プレイ時間は約274億時間にも上り、生活の一部として深く浸透していることが分かります。

本質は「ゲーム版YouTube」UGCの巨大プラットフォーム

ロブロックスの本質は、ユーザー自身がコンテンツを作り出す「UGC(User Generated Content)」プラットフォームであるという点です。「ゲーム版YouTube」と例えられるように、ロブロックス自体はほとんどゲームを自社開発していません。彼らが提供するのは「Roblox Studio」という無料ツールと、クリエイターが自由に想像するための「場」です。プログラミング知識が少なくても、まるでレゴブロックを組み立てるように直感的にゲームを作ることができ、現在、そのコンテンツ(エクスペリエンスと呼ばれます)の数は推定で4,000万種類以上に達しています。これは、他のゲーム会社とは一線を画す、ロブロックスのユニークな強みです。

クリエイターに億万長者が続出する経済圏

ロブロックスが世界中の才能あるクリエイター(推定1,200万人以上)を引きつける最大の要因が、独自の「クリエイターエコノミー」です。クリエイターは、自身が制作したゲーム内アイテムやアバター用のアクセサリーなどを、ゲーム内通貨「Robux(ロバックス)」で販売することで収益を得ます。

その稼ぎっぷりはまさに「ロブロックスドリーム」と呼べるレベルです。データによれば、トップ10に入るクリエイターの平均年収は日本円で約56億円、トップ1,000人で見ても平均約1.2億円に達すると推計されています。また、クリエイターへの支払い総額(DevExプログラム)は1年間で10億ドル(約1,500億円)を超えました。自分のアイデアと努力次第で大金持ちになれるかもしれないという夢が、この巨大なエコシステムを回す強力なエンジンとなっています。

広がるユーザー層と企業からの熱視線

かつては13歳以下が過半数を占めていたロブロックスですが、ユーザー層は大きく多様化しています。直近のデータでは、13歳以上のユーザーが全体の58%以上を占め、18歳以上の成人ユーザーも41.3%に達するなど、子供のゲームとは呼べない多様なユーザー層に広がっています。

また、ユーザーが集まる場として企業からの注目も熱く、スポーツブランドのナイキが作った「ナイクランド」や、高級ファッションブランドのグッチによる「グッチタウン」など、世界中の様々な業種のグローバル企業がロブロックス内に独自のバーチャル空間を作っています。企業にとってロブロックスは、ブランドの世界観を体験してもらったり、ファンと交流したりする重要なマーケティングプラットフォームになりつつあります。

競合と日本市場への戦略

ロブロックスには、「マインクラフト」や「フォートナイト」といった強力なライバルが存在します。特に日本市場においては、マインクラフトのネットワーク効果が強く、ロブロックスのシェアはまだ限定的です。

この状況を打破するため、ロブロックスは二つの主要な戦略をとっています。一つは、日本の強力なIP(知的財産)との連携強化です。人気アニメなどをテーマにしたコンテンツ制作コンテストを開催するなど、日本ならではの強みを活かそうとしています。もう一つは、リアルタイム翻訳機能の強化です。これにより、日本のユーザーも言葉の壁なく世界中のプレイヤーとコミュニケーションをとれるようになることを目指しており、ロブロックスならではのグローバルな体験価値を向上させる狙いです。

将来性と抱えるリスク

ロブロックスの最大のポテンシャルは、今後の社会の中心となるであろう若い世代の心を掴んでいる点にあります。ユーザー層の多様化とグローバルでの拡大を背景に、今後はゲームだけでなく、コミュニケーション、ショッピング、教育などへ用途を広げていく可能性を秘めています。ロブロックス自身もAIを活用したクリエイター支援ツール開発や、広告・サブスクリプションモデルなど収益源の多様化を進めています。

一方で、ロブロックスはいくつかのリスクも抱えています。最も大きな課題は「安全性」です。不適切なコンテンツや悪意を持った大人による接触、いじめなど、子供たちの安全をどう守るかという問題は常に指摘されており、オープン性と安全性の両立という難しい舵取りが求められます。また、マインクラフトやフォートナイトとの競争激化、クリエイターへの収益還元率への批判、特定の国や地域での規制強化といったリスクも存在します。

ロブロックスは、単なるゲームの枠を超え、巨大で複雑な生態系を持つプラットフォームへと進化を遂げています。その成長の裏にはリスクも存在しますが、今後、次世代のデジタル空間におけるスタンダードとなり得る可能性を秘めた、現代を象徴する企業の一つと言えるでしょう。


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