皆さま、こんにちは。
今回は、私たちの生活に欠かせないインフラとも言える「Google」の親会社、アルファベットについて深く掘り下げていきたいと思います。
昨今の米国市場において、アルファベットの株価が非常に好調な推移を見せていることをご存知でしょうか。これまでGAFAM(Google, Apple, Facebook/Meta, Amazon, Microsoft)の中でも、AI開発競争において一歩出遅れているのではないか、といった懸念の声が聞かれることもありました。しかし、ここへ来てその評価が一変し、まさに「一人勝ち」とも言えるような強さを見せつけています。
なぜ今、アルファベットがこれほどまでに熱い視線を浴びているのでしょうか。その背景には、単なる一時的なブームでは片付けられない、極めて堅実かつ衝撃的な「3つの理由」が隠されていました。
本記事では、動画で語られたアルファベットの最新動向について、決算内容、伝説の投資家の動き、そして革新的な新技術という観点から、余すところなく解説していきます。
1. 歴史的な好決算が示す「AI収益化」の現実
まず最初にお伝えしなければならないのが、2025年7-9月期に発表された決算の衝撃です。
この時期、他のハイテク企業は金利の高止まりや景気減速への懸念から、苦しい経営判断を迫られる場面も少なくありませんでした。決算発表シーズン全体を見渡しても、決して楽観視できる状況ではなかったと言えるでしょう。
しかし、アルファベットだけはまるで別世界の住人であるかのような驚異的な数字を叩き出しました。
最も市場を驚かせたのは、四半期の売上高がついに史上初めて「1,000億ドル」を突破したという事実です。1,000億ドルといっても規模が大きすぎてイメージしにくいかもしれませんが、日本円に換算すると約15兆円にも上ります。これをたった3ヶ月で稼ぎ出したのですから、まさに国家予算級の規模と言っても過言ではありません。
さらに注目すべきは利益の伸びです。売上高が前年比16%増であったのに対し、純利益はなんと33%増を記録しました。多くの大企業が成長の鈍化に苦しむ中で、この巨大企業が3割以上も利益を伸ばしている事実は、異常とも言える強さです。
この成長を牽引した最大の要因、それが「クラウド事業」です。
クラウド部門の売上は前年同期比で34%増、約152億ドルに達しました。ここで重要なのは、単にサーバーを貸し出すビジネスが伸びたわけではないという点です。世界中の企業が、Googleのクラウド上で提供されているAIツールや開発基盤を本格的に利用し始めたことが、この数字に表れています。
これまで株式市場において、AIは「将来への期待」で語られるテーマでした。しかし今回のアルファベットの決算は、AIがもはや期待だけの存在ではなく、実際に莫大なキャッシュフローを生み出す「儲かるビジネス」へと変貌を遂げたことを証明する歴史的な転換点となったのです。
広告事業という盤石な収益基盤を持ちながら、そこにクラウドという新たな成長エンジンが完全に点火した状態。これが現在のアルファベットの強さの源泉です。
2. 「投資の神様」ウォーレン・バフェットのリベンジ投資
アルファベットの株価を押し上げた要因は、決算だけではありません。世界中の投資家が注目する「投資の神様」の動きが、市場に大きな安心感を与えました。
ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが、第3四半期にアルファベット株を新たに購入したことが明らかになったのです。その額、なんと43億ドル。日本円にして約6,750億円という巨額投資です。
バフェット氏といえば、長年にわたりハイテク株への投資には慎重な姿勢を見せてきたことで知られています。唯一の例外とも言えるAppleへの投資も、iPhoneを「生活必需品」と捉えてのことでした。
実はバフェット氏は過去に、Googleへの投資機会を逃したことについて「失敗だった(I blew it)」と公言し、強い後悔を滲ませていました。そんな彼が、なぜこのタイミングでついに投資に踏み切ったのでしょうか。
そこには大きく分けて2つの理由があると考えられます。
一つ目は、先ほど触れた決算内容ともリンクしますが、アルファベットが「得体の知れないハイテク企業」から、バフェット氏が好む「安定的かつ永続的に収益を生み出す企業」へと進化したと確信したからです。AIブームが一過性の流行ではなく、実需に基づいたビジネスとして定着したことを見届けたのでしょう。
そして二つ目の理由が「割安感」です。
これが意外に思われるかもしれませんが、現在のAI関連銘柄の中で、アルファベットの株価は相対的に割安な水準に放置されています。
株価の割安度を測る指標である予想PER(株価収益率)を比較してみましょう。
マイクロソフトが約32倍、AI半導体の王者であるNVIDIAが約42倍という高評価を受けているのに対し、アルファベットは約25倍に留まっています。これだけの利益成長を実現していながら、他のAI銘柄よりも評価が低いのです。
バフェット氏は、市場がまだアルファベットの本当の実力、特にAI事業の将来価値を株価に織り込みきれていないと判断したのでしょう。
流行を追わず、企業の根源的な価値を見極める伝説の投資家が動いた。この事実は、アルファベットが単にAIバブルに乗っているだけではないという、何よりも強力な「お墨付き」となりました。
3. ゲームチェンジャー「Gemini 3」の衝撃
盤石な財務基盤と、伝説の投資家による評価。これだけでも十分すぎる材料ですが、アルファベットの攻勢は止まりません。
2025年11月18日、Googleは最新のAIモデル「Gemini 3(ジェミニ・スリー)」を発表しました。このモデルの登場は、AI業界の勢力図を塗り替える「ゲームチェンジャー」になると目されています。
その性能は、専門家から「博士号レベル」と評されるほど卓越しています。
これまでAIの性能評価といえば、開発元が発表する「自称・最高性能」が乱立する状況でした。しかし、Gemini 3が衝撃を与えたのは、客観的なベンチマークテストの結果においてです。
競合であるOpenAIの「GPT-5.1」や、Anthropicの「Claude 3.5 Sonnet(動画内ではClaude Sonnet 4.5と言及)」といった、現時点で最強クラスとされるモデルたちを、あらゆるテスト項目で大幅に上回るスコアを記録しました。
特に象徴的だったのが、「LMSYS Chatbot Arena」での結果です。これは、ブランド名を伏せた状態でAI同士を戦わせ、どちらの回答が優れているかを人間が判定する、いわば「AIの格闘技」のようなテストです。ブランドや前評判が一切通用しない実力勝負の世界で、Gemini 3はイーロン・マスク氏の「Grok 4.1」などを抜き去り、堂々の世界1位に輝きました。
この圧倒的な性能差に対し、最大のライバルであるOpenAIのCEO、サム・アルトマン氏さえもが反応しました。彼はSNS上で「Gemini 3の発表おめでとう。素晴らしいモデルだ」と称賛のコメントを寄せたのです。
通常、競合他社のトップが新製品を褒めることなどあり得ません。しかし、そうせざるを得ないほど、Gemini 3の完成度が誰の目にも明らかなレベルだったということでしょう。
この新モデルの発表を受け、アルファベットの株価は最高値を更新。年初来の上昇率は57%に達し、いわゆる「マグニフィセント・セブン」の中でもトップのパフォーマンスを記録することとなりました。
4. アルファベットに「死角」はあるのか
しかし、ここで一つの疑問が浮かびます。「性能が良いのは分かったが、すでに多くのユーザーを抱えているOpenAI(ChatGPT)の牙城を崩せるのか」という点です。
ビジネスの世界では、最高の技術が必ずしも勝つとは限りません。先行者利益を持つライバルにどう対抗するのか。実はここにこそ、アルファベットの真の強み、他社が模倣できない「勝利の方程式」が存在します。
Googleの強さは、以下の3つの要素が完璧なサイクルを形成している点にあります。
1. 圧倒的なデータ量
Google検索、YouTube、Gmail、Googleマップ。これらを通じて、世界中の何十億人というユーザーから毎日膨大なデータが集まります。AIを賢くするための「餌」となるデータの質と量において、Googleは他社の追随を許しません。
2. 無尽蔵の資金力
広告事業とクラウド事業から生まれる莫大なキャッシュフローが、AI開発という「お金を飲み込むブラックホール」を支えています。
3. 最強の自社インフラ
そして何より重要なのが、それらを動かすためのインフラです。Googleは、AI開発に必要なデータセンターや半導体を、他社から借りるのではなく、すべて自前で構築しています。
例えば、テキサス州での新たなデータセンター建設には、日本円で約6.2兆円(400億ドル)もの投資が計画されています。これは一企業の投資額というより、国家予算レベルの規模です。インフラ段階から他を圧倒するこの姿勢こそが、長期的な競争優位性を保証しています。
そして、先ほどの「どうやってシェアを奪うか」という問いへの答えもシンプルです。
Googleは、Gemini 3をゼロから普及させる必要がありません。すでに何十億人が使っている検索エンジン、Androidスマホ、Chromeブラウザ、Gmailといった既存のサービスに、この最強のAIエンジンを組み込めば良いだけなのです。
ユーザーは、特別なアプリをインストールしたり意識したりすることなく、いつの間にかGoogleのサービスを通じて世界最高のAIを利用することになります。これこそが、スタートアップ企業には決して真似できない、プラットフォーマーとしての圧倒的なアドバンテージです。
結論:盤石の布陣で挑む未来
このように整理してみると、現在のアルファベットには隙が見当たりません。
豊富なデータを餌にAIを賢くし、盤石な収益でインフラを強化し、そのインフラで最強のAIを動かす。そして賢くなったAIが既存サービスをさらに便利にし、それがまた新たなデータと収益を生む。
この「完璧なエコシステム」が完成しているからこそ、決算は絶好調であり、バフェット氏は投資を決断し、Gemini 3という傑作が生まれたのです。
もちろん、巨大IT企業ゆえの独占禁止法のリスクや、技術革新のスピードに伴う不確実性は常に存在します。しかし、現時点で見えている材料、すなわち「好決算」「バフェットのお墨付き」「技術的ブレイクスルー」という3つの追い風は、アルファベットの未来を非常に明るいものにしています。
次回の四半期決算では、Gemini 3の実装がどれだけ具体的な収益として数字に表れてくるかが最大の注目点となるでしょう。AIという人類史に残る技術革新のど真ん中で、王者が本気を見せた瞬間。私たちは今、そんな歴史的な局面に立ち会っているのかもしれません。
米国株投資において、改めてGoogleという企業の底力を再認識させられるニュースでした。今後の動向からも目が離せません。
