NVIDIA第3四半期決算詳報:AIバブル崩壊の懸念を吹き飛ばした「異次元」の回答

みなさん、こんにちは。米国株投資の世界で、今期もっとも注目されていた一大イベントがついに幕を閉じました。

そうです、全世界の投資家が固唾を飲んで見守っていたNVIDIA(エヌビディア)の第3四半期決算です。

決算発表の直前、市場には「いよいよAIバブルも崩壊か?」という重苦しい空気が漂っていました。しかし、蓋を開けてみれば、そうした悲観論を力づくでねじ伏せるような、まさに「異次元」としか言いようのない決算内容でした。

今回は、この歴史的な決算の全貌と、市場を震撼させた「売り」の動き、そして私たち個人投資家がこれからどう立ち回るべきかについて、動画の内容を余すことなく、じっくりと深掘りして解説していきます。かなりの長文になりますが、今後の投資戦略を練る上で非常に重要な情報が詰まっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。


決算直前の不穏な空気:レジェンドたちの撤退

まず、今回の決算がなぜこれほどまでに緊張感に包まれていたのか、その背景から振り返りましょう。それは、投資界の「レジェンド」たちが、示し合わせたかのようにNVIDIA株を手放していたからです。

マイケル・バーリ氏の「空売り」と鋭い指摘

映画『マネー・ショート』で有名な伝説の投資家、マイケル・バーリ氏。彼がNVIDIAに対して巨額の「空売り(株価下落に賭ける取引)」を仕掛けていたことが判明しました。

彼が問題視したのは、単なる割高感ではありません。**「会計処理の歪み」**という、非常に構造的なリスクでした。具体的には、データセンターで使用されるサーバーの減価償却期間に関する指摘です。

AI技術の進化は凄まじく早く、最新のサーバーでも3年もすれば陳腐化してしまいます。しかし、会計上はこれを「7年間使う」という前提で処理することで、毎年の費用を少なく見せ、目先の利益を人工的に良く見せているのではないか。バーリ氏はそう読み解いたのです。もしこれが事実なら、将来的に価値のない資産が積み上がり、いつか巨額の損失として表面化することになります。この論理的な指摘は、市場に冷や水を浴びせました。

ソフトバンクとピーター・ティールの全株売却

不安材料はそれだけではありません。かつてNVIDIA株を早売りして巨額の利益を逃した苦い経験を持つソフトバンクグループ(孫正義氏)が、保有していた約58億ドル(約8,000億円)相当の株を「全株売却」したのです。

さらに、シリコンバレーの重鎮、ピーター・ティール氏率いるファンドも、4月から9月の間に全株を売却していました。これだけの「超大物」たちがこぞって逃げ出している事実は、一般の投資家をパニックに陥れるには十分すぎるインパクトがありました。

市場の迷い:プロたちの意見も真っ二つ

しかし、市場が完全に弱気に傾いたわけではありませんでした。ここが今回の面白いところです。

バンク・オブ・アメリカなどの大手金融機関は、「AI需要は本物であり、懸念はノイズに過ぎない」と強気の姿勢を崩しませんでした。ある調査データによると、直近3ヶ月でNVIDIA株を買い増したヘッジファンドは161社、逆に減らしたファンドは160社。

プロの投資家の間でも、見方が完全に拮抗していたのです。まさに「強気派」対「弱気派」の最終決戦。そのような極限の緊張感の中で、運命の決算発表が行われました。


「異次元」の決算内容:数字が語る圧倒的成長

それでは、発表された決算の中身を見ていきましょう。結論から言えば、市場の不安をすべて吹き飛ばす、驚異的な内容でした。

1. 売上高と利益:予想を遥かに超える

まず、会社全体の売上高は570億ドル。前年の同じ時期と比べて、なんと62%増という凄まじい数字を叩き出しました。すでに巨大企業であるNVIDIAが、年間60%以上のペースで成長し続けているのです。市場予想(コンセンサス)の約540億ドルを余裕で上回りました。

利益面(EPS:1株当たり利益)も同様です。市場予想の1.25ドルに対し、結果は1.30ドル。入り口である売上と、最終的な利益の両方で、しっかりと期待を超えてきました。

2. データセンター部門:止まらないロケットエンジン

NVIDIAの心臓部であり、AIブームの牽引役である「データセンター部門」。ここの数字がもっとも重要視されていましたが、結果は衝撃的でした。

売上高は512億ドル。前年同期比で66%増です。

市場予想は約490億ドルでしたから、投資家たちが「すごい数字が出るだろう」と高く見積もっていたハードルを、さらに数十億ドル単位で飛び越えていったことになります。

ジェンスン・フアンCEOは「最新チップ『Blackwell』への需要は驚異的だ」「クラウド向けGPUは完売状態」とコメントし、需要が供給を遥かに上回っている現状を強調しました。これは単なるブームではなく、実需に基づいた成長であることを証明しています。

3. ガイダンス(見通し):成長はさらに加速する

そして、今回の決算で最大のサプライズだったのが、第4四半期の見通し(ガイダンス)です。過去が良くても未来が暗ければ株は売られますが、NVIDIAはここでも魅せました。

会社側が提示した次期の売上見通しは650億ドル(プラスマイナス2%)。

市場予想の620億ドルを、なんと30億ドルも上回る数字を提示してきたのです。これは「成長の勢いは衰えるどころか、むしろ加速している」という、強烈なメッセージとなりました。

市場の反応と今後の展望

この決算を受けて、時間外取引で株価は一時4.5%以上も急騰しました。「AIバブル崩壊」という黒い霧は一瞬で晴れ、ビットコイン価格の回復や他のAI関連株の上昇など、市場全体にリスクオンの空気が広がりました。

今回の決算で明らかになったのは、AIへの投資が単なる期待先行のマネーゲームではなく、巨大な設備投資に裏付けられた「本物のトレンド」であるということです。これはAMDやTSMCといった他の半導体銘柄にとっても、非常に強い追い風となるでしょう。


個人投資家への3つのアドバイス

さて、ここからが本題です。この「お祭り騒ぎ」の中で、私たち個人投資家はどう動くべきなのでしょうか。動画では、非常に冷静かつ重要な3つのアドバイスが語られていました。

1. 「異常な期待値」との付き合い方を知る

今回の好決算により、NVIDIAに対する市場の期待値はさらに跳ね上がりました。これが「ニューノーマル(新しい基準)」になってしまったのです。

今後は、この極めて高いハードルを超え続けなければなりません。たとえ良い決算を出したとしても、市場の期待に少しでも届かなければ「成長鈍化」とみなされ、株価が急落するリスクを常に抱えることになります。「良くて当たり前」という厳しい世界に入ったことを理解しておく必要があります。

2. ボラティリティ(変動)を受け入れる覚悟

世界中の注目が集まる銘柄であるがゆえに、株価の変動は今後も激しくなります。良いニュースでも悪いニュースでも、株価は大きく動くでしょう。

「今日上がった、明日下がった」と短期的な値動きに一喜一憂していては、精神が持ちません。この激しい変動は今後も続くものだと腹を括り、短期的なノイズに振り回されないメンタルを持つことが、これまで以上に重要になります。

3. 自分の「投資の軸」を再確認する

もっとも大切なのはこれです。マイケル・バーリが売ったから不安になる、決算が良かったから飛びつく。そうやって外部のニュースに流されるのは危険です。

「自分はなぜNVIDIAに投資するのか?」

短期的な値幅を取りたいのか、それともAIが創り出す10年後、20年後の未来に賭けているのか。

もし長期投資であれば、今回のような一時的な下落懸念や、逆に過度な熱狂は、単なる通過点に過ぎません。この歴史的なイベントを機に、一度立ち止まって、自分自身の投資シナリオと時間軸を再確認することをお勧めします。

まとめ:AI相場の「第2章」へ

今回のNVIDIAの決算は、市場の不安を力でねじ伏せる圧巻の内容でした。しかし、マイケル・バーリ氏が指摘したような会計上のリスクや、バリュエーションの高さという課題が完全に消えたわけではありません。

これからは「AIなら何でも上がる」という第1章が終わり、本当に実力を伴った企業だけが生き残る「選別の第2章」に入っていきます。

私たち投資家も、ただ熱狂するのではなく、冷静な目で企業の実力を見極め、自分自身の投資判断を磨いていく必要があります。この歴史的な転換点を目撃できたことを幸運に思いつつ、慎重かつ大胆に相場と向き合っていきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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