【IREN|アイレン(Iris Energy)決算】100%再エネ電力を供給可能なデータセンターを武器に時代に乗る注目株!

米国株投資に関心のある皆さん、こんにちは。今回は、AIブームの裏側で深刻化する「ある問題」を解決し、時代の寵児となる可能性を秘めた企業について深掘りしていきましょう。

そのテーマとは、ずばり「AIと電力」、そしてその中心にいる注目企業「IREN(アイレン)」です。

AIの進化は止まることを知りませんが、その裏で膨大な電力が必要になることは避けて通れません。しかも、単に電力が足りればいいわけではなく、環境への配慮から「クリーンな電力」であることが求められています。この難題に対し、100%再生可能エネルギーを武器に挑むIREN。マイクロソフトとの巨額契約も話題となったこの企業の、最新決算と驚きの戦略を詳しく解説していきます。

IREN(旧アイリスエナジー)とはどんな企業か

最近、投資家の間でも「IREN」という名前をよく耳にするようになりましたが、そもそもどのような会社なのか、基本からおさらいしておきましょう。

2024年11月、社名を「アイリスエナジー(Iris Energy)」から「IREN」に変更したばかりのこの会社は、もともと2018年にオーストラリアで設立されました。比較的新しい企業であり、本社はシドニーにあります。

創業当初の主力事業はビットコインのマイニング(採掘)でした。しかし、単なるマイニング企業ではありません。IRENの最大の特徴は、データセンターの土地選定から設計、建設、そして運営に至るまでを自社で一貫して行う「垂直統合モデル」を採用している点にあります。外部への委託を減らすことでコストを抑え、建設スピードを速めることができるのが強みです。

そして何より重要なのが、すべてのデータセンターを「100%再生可能エネルギー」で稼働させることを目指している点です。水力発電が豊富なカナダのブリティッシュコロンビア州や、太陽光・風力資源に恵まれたアメリカのテキサス州など、クリーンエネルギーを安価に調達できる場所に戦略的に拠点を構えています。

この「自社運営のノウハウ」と「安価な再エネ電力」という2つの武器を活用し、ビットコインマイニングから、より成長性の高い「AI向けクラウドサービス」へと事業の軸足を移そうとしているのが、現在のIRENの姿なのです。

二つの成長エンジン:ビットコインとAI

IRENの戦略は、非常にユニークかつ合理的です。彼らは2つの事業を車のエンジンのように捉えています。

一つ目のエンジンは「ビットコインマイニング」です。これは安定したキャッシュフローを生み出す役割を担います。ここで稼いだ現金を元手にして、二つ目のエンジンである「AIインフラ事業」へ投資するのです。AI事業は成長性が極めて高く、将来的な収益の柱として期待されています。

デジタル資産とAIインフラという、現代を象徴する2大成長テーマに、さらに再生可能エネルギーという強みを掛け合わせる。まさに時代の潮流に乗るための理想的なポートフォリオと言えるでしょう。

マイクロソフトとの歴史的な巨額契約

IRENへの期待を一気に高めたのが、決算発表直前に公表されたマイクロソフトとの契約でした。このニュースは市場に衝撃を与えました。

契約総額はなんと約97億ドル、日本円にして約1兆4000億円という途方もない規模です。期間は5年間。この契約により、マイクロソフトはIRENのデータセンターを通じて、NVIDIAの最新AI半導体などの高性能な計算資源へのアクセスを確保することになります。

この契約が意味するものは、単なる売上の増加だけではありません。市場からの見方を一変させる力を持っていました。これまでの「ビットコイン価格に左右される不安定なマイナー企業」という評価から、「巨大テック企業のAI戦略を支える、信頼できる長期的なパートナー」へと、会社の格付けが一気に向上したのです。

マイクロソフトのような巨大企業にとっても、クリーンエネルギーで稼働する大規模なデータセンターを確保することは急務です。環境負荷への配慮が求められる中、再エネ100%を掲げるIRENは理想的なパートナーだったと言えるでしょう。

2026年度第1四半期決算:数字の裏にある真実

さて、ここからは先日発表された最新の決算内容(2026年度第1四半期、7月〜9月期)を詳しく見ていきます。

一見すると、評価の分かれる難しい決算でした。

まず、売上高は2億4030万ドル。前年同期比でプラス355%という驚異的な伸びを見せました。内訳を見ると、まだビットコインマイニングが売上の大半を占めていますが、AIクラウドサービスの売上も730万ドルと、着実に立ち上がってきています。

しかし、市場がネガティブに反応したのは利益面でした。調整後EPS(1株当たり利益)が0.34ドルの赤字となり、市場予想を大幅に下回ったのです。

なぜ赤字幅が広がったのでしょうか。会社側の説明によると、主な原因は2つあります。一つはマイクロソフトとの契約に対応するため、AIインフラの構築を急ピッチで進めており、その減価償却費が増加したこと。もう一つは、優秀な人材を確保するための株式報酬費用が増えたことです。つまり、将来の成長のための「意図的な先行投資」が嵩んだ結果と言えます。

ここで投資家として注目すべきは、見かけ上の利益ではなく、本業で現金を稼ぐ力です。それを示す「調整後EBITDA」を見ると、前年同期の250万ドルから、なんと約36倍の9170万ドルへと急増しています。

これは非常に重要なシグナルです。先行投資で会計上の費用は増えていますが、事業そのものがキャッシュを生み出す力は劇的に向上しているのです。EPSの赤字は「ノイズ」であり、EBITDAの急増こそが「本質」であると捉えることができるでしょう。

驚異的な利益率と野心的な将来目標

AI事業へのシフトを急ぐ理由の一つに、その圧倒的な収益性があります。

今回の決算で明らかになったAIクラウド事業のハードウェア利益率は、なんと90.4%。マイニング事業の65.7%と比較しても、その高さは際立っています。単純に言えば、マイニングよりもAIインフラを提供するほうが、遥かに儲かるビジネスなのです。

経営陣が発表した今後の見通し(ガイダンス)も、市場を驚かせました。

2026年末までに、AIクラウド事業の年間経常収益(ARR)を34億ドルにするという目標を掲げたのです。現在の会社全体の売上が年間10億ドル程度であることを考えると、わずか2年でその3倍以上をAI事業だけで稼ぎ出すという、極めて野心的な目標です。

「そんなことが可能なのか」と疑いたくなりますが、実はこの34億ドルのうち、約19億ドル分はすでにマイクロソフトとの契約によってほぼ確実に見込める売上です。残りの15億ドルについても、既存の拠点を活用して新たな顧客を獲得することで達成を目指すとしています。

この目標を実現するために、設備投資も加速させます。2026年末までに、AIに必要なGPUを現在の約2000基から一気に14万基体制へと増強する計画です。これに伴い、300メガワット規模の施設建設や、将来的には原子力発電所数基分に匹敵する2ギガワット規模のデータセンターハブ構想も進行中です。

投資家が留意すべきリスク

夢のある話ばかりをしてきましたが、もちろんリスクも存在します。投資を検討する際には、以下の点に注意が必要です。

第一に、ビットコイン価格への依存です。AIシフトが進んでいるとはいえ、現時点での収益の大半はまだマイニングによるものです。ビットコイン価格が暴落すれば、キャッシュフローが悪化し、AI事業への投資原資が不足する可能性があります。

第二に、実行リスクです。14万基のGPU導入や巨大データセンターの建設など、計画はあまりに壮大です。工事の遅延やコストの超過が発生すれば、業績に大きなダメージを与えるでしょう。

第三に、競争の激化です。AWSやGoogle Cloudといった巨人たちに加え、AIインフラに特化した新興企業や、同じように業態転換を図る他のマイニング企業との競争は避けられません。

第四に、株価の変動の激しさです。IRENの株価は市場全体の値動きに対して非常に敏感に反応する傾向があり、ハイリスク・ハイリターンな性質を持っています。現在の株価は将来の成功をある程度織り込んでいるため、計画に少しでも狂いが生じれば、大きく調整する可能性があります。

まとめ:エネルギー企業からAIインフラの巨人へ

今回のIRENの決算と戦略を見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

彼らは単なるビットコインマイナーから脱却し、AIという巨大な需要をクリーンエネルギーで支える、新時代のインフラ企業へと進化しようとしています。再生可能エネルギーとデータセンター運営能力という2つの武器を手に、時代の大きなうねりに乗ろうとしているのです。

マイクロソフトという強力なパートナーを得たことで、その計画の実現性は高まりましたが、依然として道のりは険しく、多くの課題が待ち受けています。野心的な計画を本当にやり遂げられるのか、それとも絵に描いた餅に終わるのか。その実行力が試されるのはこれからです。

もし、AI事業が本格化する前にビットコインが「冬の時代」を迎えたらどうなるのか。あるいは、AIバブルが弾けたらどうなるのか。様々なシナリオを想定しつつ、この企業の挑戦を見守っていく必要がありそうです。

IRENの物語はまだ始まったばかりです。エネルギーとAIが交差する最前線で何が起きるのか、今後の展開から目が離せません。今回の情報が、皆さんの投資判断の一助となれば幸いです。


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