今回は、今まさに米国株市場で大きな注目を集めている銘柄、Googleの親会社である「Alphabet」について、その最新動向を深掘りしていきたいと思います。
皆さんも日々、Google検索やYouTubeを利用されていることでしょう。私たちの生活になくてはならない存在であるGoogleですが、投資家の間では「AIブームに乗り遅れたのではないか」と囁かれることもありました。OpenAIのChatGPTや、それを支えるNVIDIAのGPUが市場を席巻する中で、Googleは少し影が薄くなっていた時期があったのも事実です。
しかし、その風向きが今、劇的に変わりつつあります。Googleの株価は絶好調で推移しており、何かとてつもない変化が起きている予感が漂っています。その中心にあるのが、Googleが発表した最新のAIモデル「Gemini 3」です。
本記事では、Gemini 3がもたらした衝撃と、Googleが持つ真の強さである「最強のフライホイール」について、動画の内容を元に詳しく解説していきます。AI業界の勢力図がどのように変わろうとしているのか、そしてなぜ今、投資の神様ウォーレン・バフェットがGoogleに投資したのか。その理由を紐解いていきましょう。
AI界の勢力図を塗り替える「Gemini 3」の圧倒的性能
これまでAI業界といえば、誰もが認める二大巨頭が存在していました。一つは、AIを動かすための半導体市場を独占するNVIDIA。もう一つは、そのNVIDIAの半導体を使い、ChatGPTという革新的なサービスを生み出したOpenAIです。「NVIDIA × OpenAI」という構図は盤石であり、誰も揺るがすことはできないと思われていました。
ところが、その常識が地殻変動レベルで覆されようとしています。その引き金となったのが、Googleが発表した「Gemini 3」です。
Gemini 3の凄さは、一言で言えば「あらゆる客観的なテストで、既存の王者を打ち負かした」という点に尽きます。OpenAIの最新モデルであるGPT-5.1はもちろん、イーロン・マスク氏率いるxAIのGrok、そして性能の高さに定評があるAnthropicのClaudeといった強力なライバルたちを、主要なベンチマークテストで軒並み上回るスコアを叩き出したのです。
特に象徴的だったテストが2つあります。
一つ目は、「人類最後の試験」とも呼ばれる難易度の高いテストです。これはAIに複雑で多段階の思考を行わせ、推論能力の限界を試すものです。このテストにおいて、GPT-5.1のスコアが26.5%であったのに対し、Gemini 3は37.5%という驚異的な数字を記録しました。この差は圧倒的と言わざるを得ません。
二つ目は、「LMアリーナ」での評価です。これは、2つのAIモデルが匿名で提示され、どちらの回答が優れているかを人間が判定するという、いわばAIの総合格闘技のような場所です。ブランド名や前評判が一切通用しない実力だけのガチンコ勝負において、Gemini 3は堂々のチャンピオンに輝きました。これは小手先の性能改善ではなく、根本的な能力において他を圧倒していることの証明です。
業界の反応も異例づくしでした。SalesforceのCEOであるマーク・ベニオフ氏は、自身のSNSで「もうChatGPTには戻れない。飛躍が桁違いだ」と絶賛しました。さらに驚くべきことに、ライバルであるOpenAIのサム・アルトマンCEOや、イーロン・マスク氏までもが、公の場でGemini 3の性能を称賛せざるを得ない状況となりました。アルトマン氏に至っては、社内向けのメッセージで「Googleは素晴らしい仕事をしている。我々は経済的逆風に直面している」と強い危機感を表明したとも報じられています。
ライバルがその実力を認め、脅威を感じていることこそ、Gemini 3の性能が本物である何よりの証拠と言えるでしょう。
NVIDIA依存からの脱却、自社チップ「TPU」の革命
Gemini 3の衝撃は、単なるAIモデルの性能向上だけにとどまりません。さらに大きな、業界構造そのものを変えてしまうような変化が隠されています。
それは、このGemini 3が「NVIDIAのGPUを一切使わずに開発された」という事実です。
通常、AIの開発にはNVIDIA製のGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)が不可欠とされてきました。しかし、Googleは自社で開発したAI専用の半導体、「TPU(テンソル・プロセッシング・ユニット)」だけでGemini 3を作り上げたのです。
GPUは何でもできる万能選手ですが、TPUはAIの機械学習、特に行列計算という膨大な処理を行うためだけに設計された、いわば特定の競技に特化した超一流アスリートのような存在です。AIの計算だけをさせるなら、TPUは他の追随を許しません。
この「脱NVIDIA」、つまりTPUへのシフトという動きは、Google社内だけの話ではなく、業界全体に波及し始めています。例えば、FacebookやInstagramを運営するMeta社は、自社のデータセンターでGoogleのTPUを採用するために巨額の投資を協議していると報じられています。また、有力なAIスタートアップであるAnthropic社も、Googleとのパートナーシップを拡大し、最大で100万個規模のTPUを導入する契約を結びました。
これまでは「AI半導体といえばNVIDIA」という一強時代でしたが、その中心にGoogleが食い込んできたのです。NVIDIAへの依存度を下げ、自社技術でAI開発を行える体制を整えたGoogleの戦略は、コスト競争力や供給リスクの回避という点でも極めて大きな意味を持ちます。
投資の神様、ウォーレン・バフェットが動いた理由
このようなGoogleの快進撃を見て、ついにあの投資の神様も重い腰を上げました。ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイです。
第3四半期の報告によると、バークシャー・ハサウェイはAlphabet株を新たに約43億ドル(日本円にして約6,700億円以上)も購入したことが明らかになりました。以前、バフェット氏はGoogleに投資しなかったことを自身の失敗として認め、後悔していましたが、なぜ今このタイミングで購入に踏み切ったのでしょうか。
理由は大きく2つあると考えられます。
一つは、GoogleのAI事業が単なる期待の段階を終え、Gemini 3の成功やTPUの普及という形で「具体的な果実」を生み出し始めたことです。技術的な優位性が、確実なビジネス上の成果として見え始めた点を評価したのでしょう。
もう一つは、バフェット氏らしい理由ですが「割安感」です。MicrosoftやNVIDIAといった他のAI関連銘柄と比較して、AlphabetのPER(株価収益率)は相対的に低い水準にありました。市場はまだ、AlphabetのAI事業、特にTPUが持つ本当の価値を完全には織り込んでいないと判断したのかもしれません。
Googleの真骨頂、無敵の「フライホイール」構造
Gemini 3の成功やバフェット氏の投資は素晴らしいニュースですが、これらはあくまで結果に過ぎません。Google(Alphabet)の強さの根底には、もっと根本的で揺るぎない構造が存在しています。それが「フライホイール(弾み車)」と呼ばれる仕組みです。
フライホイールとは、ビジネスの各要素が互いに影響し合い、回転すればするほど加速していく好循環のことです。Googleのフライホイールは、以下の5つの強力な歯車で構成されています。
1. 圧倒的なデータ
Google検索、YouTube、Gmail、Googleマップ。世界中の数十億人が毎日利用するこれらのサービスから得られるデータは、AIを賢くするための最高品質の学習教材となります。AIの性能はデータの質と量で決まるため、この時点で他社には真似できない巨大な参入障壁、すなわち「堀」を築いていることになります。
2. 安定したキャッシュフロー
データがあっても、それを処理してAIを開発するには莫大な資金が必要です。Googleには広告事業やクラウド事業という、毎年巨額の利益を生み出す盤石な収益源があります。スタートアップ企業が資金調達に奔走する横で、Googleは潤沢な資金を次なる投資へと回すことができます。
3. 自前のインフラ
AI開発には天文学的な計算能力が必要ですが、Googleは世界中に自社のデータセンター(Google Cloud)を持っています。他社のクラウドサービスを利用するために高額な利用料を払う必要がなく、いわば自前で発電所を持っているようなものです。これにより、圧倒的に低いコストでの開発が可能になります。
4. 自社開発の半導体(TPU)
自前のインフラという発電所に、最も効率の良い自社製タービンである「TPU」を設置しています。NVIDIAのGPUに依存しないため、供給不足のリスクもなく、AI開発に最適化された最高の性能を引き出しつつ、コストを極限まで抑えることができます。
5. 巨大なデリバリー網(ユーザー基盤)
最高のAIを作ったとしても、それをユーザーに使ってもらうことは容易ではありません。しかしGoogleには、AndroidスマートフォンやChromeブラウザといった、すでに数十億人が利用しているプラットフォームがあります。開発したAIをこれらのサービスに組み込むだけで、世界中のユーザーに即座に届けることができるのです。ユーザーは意識することなく、いつの間にかGoogleの最新AIを使い始めているという状況を作り出せます。
これら5つの要素が完璧に連動している点が重要です。
豊富なデータでAIが賢くなり、賢くなったAIが既存サービスを強化して収益を増やし、その収益でインフラとTPUに投資して開発力が上がり、そこで作られた最強のAIが巨大なデリバリー網を通じてユーザーに届き、さらに多くのデータと収益を生む。
一度回り始めたら誰にも止められない、この無限のループこそが、Googleの逆襲を支えるフライホイールの正体なのです。
まとめ
今回の動画の内容をまとめると、好調な決算、投資の神様バフェット氏の参戦、そしてゲームチェンジャーとなったGemini 3の成功という3つの追い風が吹いていることがわかります。これらは、Googleが元々持っていた完璧なフライホイールを、さらに猛烈な勢いで加速させています。
これまでは「AI競争に出遅れた巨人」と見られることもありましたが、足元の技術革新と強固なビジネスモデルを見れば、その評価が誤りであったことは明白です。これからの注目点は、Gemini 3を組み込んだサービスが、次の四半期決算などでどれだけ具体的な収益として数字に表れてくるかでしょう。
Googleの「最強のフライホイール」が本格的に回転し始めた今、NVIDIAやOpenAIの牙城を崩し、再びAIの覇権を握る日はそう遠くないのかもしれません。今後の動向からますます目が離せません。
