「ナスダック」が24時間取引へ!日本人投資家が知っておくべきメリットと危険な落とし穴

こんにちは。今回は、米国株投資家にとって衝撃的なニュースについて解説します。

なんと、あのハイテク株の聖地であるナスダック市場が、24時間取引の実現に向けて動き出しました。これが実現すれば、私たちの投資スタイルは劇的に変化することになります。

今回は、この「ナスダック24時間化」が私たち日本の個人投資家にどのような影響を与えるのか、メリットだけでなく、資産を減らしかねない危険な落とし穴についてもじっくりと掘り下げていきます。

ついに来る「眠らない米国市場」の誕生

まず、一体何が起きているのかという点から整理しましょう。

ナスダックは米証券取引委員会(SEC)に対し、取引時間を平日の23時間(実質ほぼ24時間)に延長する申請を行いました。

目標とされているのは2026年の後半です。意外ともうすぐですよね。

新しい取引時間の案としては、以下の2部構成が予定されています。

  • デイセッション(日中取引): 米国東部時間の午前4時から午後8時まで
  • ナイトセッション(夜間取引): 午後9時から翌日の午前4時まで(※間に1時間のメンテナンス休憩が入ります)

重要なのは、これがナスダックだけの話ではないという点です。ニューヨーク証券取引所などの他の主要な取引所も同様の動きを見せており、米国市場全体が「24時間化」へと舵を切ろうとしているのです。

なぜ今、24時間化なのか?

この背景には、大きく分けて2つの理由があります。

一つ目は「米国株のグローバル化」です。

今や米国株はアメリカ人だけの資産ではありません。外国人投資家が保有する米国株の総額は約17兆ドル、日本円にして約2500兆円という天文学的な数字にのぼります。特に日本や韓国など、アジアの個人投資家の熱意は凄まじいものがあります。しかし、これまでは「時差」という壁がありました。日本の投資家は深夜、眠い目をこすりながら取引する必要があったのです。この壁を取り払い、世界中からさらに投資マネーを呼び込みたいというのがナスダックの狙いです。

二つ目は「暗号資産市場からのプレッシャー」です。

ビットコインなどの暗号資産は365日24時間動き続けています。この環境に慣れた若い世代からすれば、「なぜ株式市場は夜閉まるのか?」というのは素朴な疑問でしょう。こうした時代の変化や投資家ニーズに、株式市場も応えようとしているわけです。

日本人投資家にとってのメリット

この変化が実現すれば、私たち日本の投資家には計り知れないメリットが生まれます。

1. 生活リズムと投資の完全なシンクロ

最大のメリットは、昼間の活動時間帯に米国株取引ができるようになることです。

新設される「ナイトセッション」は、日本時間に換算するとおおよそ「午前11時から午後6時」にあたります(冬時間の場合)。

つまり、日本のビジネスアワーと完全に重なるのです。これからは、お昼休みにランチを食べながらスマホで株価をチェックし、リアルタイムで売買判断を下すことが可能になります。これまでのように、深夜に無理をして起きている必要はなくなるのです。

2. リスク管理能力の劇的な向上

これまで私たちが最も恐れていたのは、「日本の昼間にアメリカで悪いニュースが出た時」ではないでしょうか。市場が開いていないため、夜まで何もできず、ただ祈るしかないという状況です。そして市場が開いた瞬間、株価が大暴落して大損をする。そんな悪夢から解放されます。

24時間取引ができれば、速報ニュースを見て「危ない」と感じた瞬間に損切り注文を出したり、ヘッジ取引を行ったりすることが可能になります。受動的な恐怖から、能動的なリスク管理へとシフトできるのです。

3. 公式価格での安心感

現在でも一部の私設取引システムを使えば時間外取引は可能ですが、それはあくまで私設の価格です。ナスダック本体で取引できるようになれば、世界中が参照する公式の価格で、より安心して取引ができるようになります。

資産を溶かす?知っておくべき「3つの落とし穴」

ここまで聞くと良いことづくめのように思えますが、実はその裏には非常に危険な落とし穴が口を開けて待っています。これを知らずに飛び込むと、資産を守るどころか大きく減らすことになりかねません。

罠その1:流動性の砂漠とスプレッド

取引所が開いていることと、活発に取引されていることは全くの別物です。

日本の昼間にあたる「ナイトセッション」に参加するのは、主にアジアの個人投資家や一部のアルゴリズムに限られます。巨大な機関投資家は寝ている時間だからです。

その結果、市場は「流動性の砂漠」となります。参加者が少ないため、買値と売値の差(スプレッド)が極端に広がってしまいます。ある調査では、通常時間の平均で30倍にも達するケースがあると言われています。

便利だからといって安易に取引すると、知らず知らずのうちに法外な手数料(コスト)を支払わされていることになるのです。

罠その2:ボラティリティとストップ狩り

流動性が低いということは、少しの注文で価格が大きく変動しやすいことを意味します。

これを悪用した「ストップ狩り」のリスクも高まります。例えば、誰かが意図的にまとまった売り注文を出して価格を一瞬だけ押し下げ、個人投資家の逆指値(損切り)注文を約定させてから、何事もなかったかのように価格が戻る、といった動きです。

「フラッシュ・クラッシュ(瞬間的な暴落)」に巻き込まれるリスクは、通常取引時間よりも格段に高くなります。

罠その3:投資中毒と生活の質の低下

最後にして最大の問題は、私たち自身の心の問題です。

「いつでも取引できる」ということは、「いつでも気になってしまう」ということです。本来仕事に集中すべき時間に株価が気になったり、夜もチャートを見てしまって睡眠が浅くなったりと、生活の質が低下する恐れがあります。

投資で資産を増やすはずが、本業のパフォーマンスを落としたり健康を害してしまっては本末転倒です。

賢く付き合うための「絶対ルール」

では、この新しい市場とどう付き合っていけばよいのでしょうか。動画では以下の戦略が推奨されています。

市場を明確に使い分ける

深夜の活気あるナスダック(本設)と、昼間の閑散としたナスダック(ナイトセッション)は、「名前が同じでも全く別の生き物」だと考えるべきです。

流動性が低く危険な昼間の市場で、積極的に大きな取引をするのは避けるのが賢明です。あくまで「突発的なニュースへの緊急避難場所」あるいは「長期目線でじっくり指値を入れて待つ場所」として位置づけましょう。

「成行注文」は絶対に使わない

これは鉄の掟です。流動性が枯渇している時に成行注文を出すのは、「中身の分からない福袋を言い値で買う」ようなものです。想像もしない高値で買わされたり、安値で売らされたりするリスクがあります。

必ず「この価格でなら買う・売る」という価格を指定する「指値注文」を徹底してください。これがあなたの資産を守る盾となります。

スイッチを切る勇気を持つ

市場が閉じてくれない分、投資家自身が意識的にスイッチを切る必要があります。

「今は投資のことは考えない」という時間を意図的に作ることが、長く投資と付き合っていく上で何よりも大切です。投資はあくまで人生を豊かにするための道具であり、それに振り回されてはいけません。

投資家はどうしたら良い?

ナスダックの24時間化は、私たちに「リアルタイムでの市場参加」という武器を与えてくれます。しかし同時に、「流動性の枯渇」というリスクと、「常時接続」という心理的な罠ももたらします。

この変化を味方につけられるかどうかは、投資家一人ひとりの知識と自己規律にかかっています。2026年の開始に向けて、今からしっかりと心の準備をしておきましょう。

焦って飛び乗るのではなく、賢く冷静に、この新しい波を乗りこなしていきたいですね。


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