【悲報】AIブームの勝ち組「オラクル」に何が?株価下落と「ジャンク債」扱いの裏側を徹底解説

こんにちは。今回は、米国株投資家の間で衝撃が走っている「オラクル(Oracle)」の現状について、深掘りして解説していきます。

ほんの数ヶ月前まで、オラクルといえばAIブームのど真ん中にいる存在でした。株価はうなぎ登りで、創業者のラリー・エリソン氏が一時的に世界一の富豪になるほど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでしたよね。「オラクルこそAI時代の勝ち組だ」と信じていた方も多いのではないでしょうか。

ところが現在、その絶頂からジェットコースターのように状況が急変しています。市場からは厳しい目が向けられ、株価も下落基調にあります。一体、オラクルに何が起きているのでしょうか。今回は、オラクルを覆う「3つの懸念」と「市場が発している危険信号」、そして「投資家が今見るべきポイント」について詳しく見ていきます。

オラクルを覆う3つの暗雲

まず、現在のオラクルを取り巻く不穏な空気の背景には、大きく分けて3つの懸念が渦巻いています。これらは相互に関連し合っており、企業の根幹を揺るがしかねない問題です。

1. 巨額すぎるAI投資による財務への負担

オラクルは現在、爆発的なAI需要に応えるため、世界中でデータセンターの建設に凄まじい金額を投じています。その規模は想像を絶するレベルで、2026年度の設備投資見通しを従来予想から150億ドル(約2兆円以上)も上乗せし、合計で500億ドル(約8兆円)に引き上げました。これはちょっとした国家予算並みの金額です。

本来であれば、ソフトウェア企業として潤沢なキャッシュを生み出すはずのオラクルですが、直近の四半期決算では「フリーキャッシュフロー」が100億ドルの赤字に転落しました。フリーキャッシュフローとは、会社が事業で稼いで自由に使えるお金のことです。稼いだお金を遥かに上回るスピードで、投資にお金が消えていっている状態なのです。

2. 借金の増大と格付け悪化の懸念

当然、自社の手元資金だけでは足りませんから、借金に頼ることになります。有利子負債は雪だるま式に増えており、現在の総額は約1050億ドル、日本円にして16兆円を超えています。

この状況に対し、格付け会社のS&Pは警鐘を鳴らしました。オラクルの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたのです。これは「このままだと信用ランクを下げますよ」というイエローカードであり、大企業にとっては非常に屈辱的な宣告と言えます。

3. 計画の遅延疑惑

これだけ巨額の借金をして進めているプロジェクトですが、そもそも「計画通りに進んでいるのか」という根本的な疑惑が浮上しています。お金は注ぎ込んでいるのに、肝心のデータセンター完成が遅れれば、AI需要を取りこぼし、投資を回収できなくなるリスクがあります。

具体化する「パートナー離脱」と「建設遅延」

これらの懸念は、単なる噂レベルを超え、具体的なニュースとして報じられ始めています。

象徴的なのが、ミシガン州で計画されていた100億ドル(1.6兆円)規模の巨大データセンタープロジェクトです。この計画において、資金面で極めて重要なパートナーだった投資会社「ブルー・アウル・キャピタル」が、支援を取りやめたと報じられました。報道直後、オラクルの株価は5%以上も急落しました。

オラクル側は「ブルー・アウルは候補の一つに過ぎない」と火消しに走りましたが、不動産やインフラ投資のプロ中のプロであるブルー・アウルが手を引いたという事実は、「このプロジェクトには何か問題があるのでは」という強いメッセージを市場に送ってしまったのです。

さらに、OpenAI向けのデータセンター建設にも遅延疑惑が出ています。一部報道では、完成が当初の予定より1年遅れて2028年になるのではないかと言われています。オラクルは否定していますが、次々と出てくるネガティブな報道が市場の疑念を増幅させているのは間違いありません。

オラクルだけの問題ではない?「電力不足」という壁

ここで一つの疑問が湧きます。「これはオラクル固有の問題なのか、それともAI業界全体の問題なのか」という点です。実は、より大きな構造的な問題が横たわっている可能性が高いのです。

例えば、クラウド界の巨人であるAmazon(AWS)も、テキサス州でのデータセンター資金提供を取りやめたり、オーストラリアでの計画を撤回したりしています。その背景にあるのが「電力供給問題」です。

AIデータセンターは電気を大量に消費する「怪物」です。作りたくても物理的に電力が足りないという問題が世界中で顕在化しています。AWSが電力会社に対して法的な申し立てを行う事態にまで発展しており、夢物語のように語られるAIも、結局は物理的な送電網という現実に支えられていることを痛感させられます。加えて、米中対立などの地政学リスクもサプライチェーンに影を落としています。

つまり、AIデータセンター建設ラッシュという潮流自体が、電力不足や地政学リスクという「現実の壁」にぶつかり始めているのです。その中で、特に財務的に無理をしているオラクルに、市場の厳しい目が集中放火されているという構図です。

市場が発する「危険信号」:CDSと社債利回り

金融市場のプロたちは、オラクルの現状をどう評価しているのでしょうか。ここで重要になるのが「CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)」という指標です。

CDSとは、いわば企業が倒産した際のための保険のようなものです。この保険料(スプレッド)が高くなればなるほど、市場はその企業の倒産リスクが高いと見積もっていることになります。

現在、オラクルの5年物CDSスプレッドはここ数ヶ月で2倍以上に急騰し、なんと2009年の金融危機(リーマンショック)以来の高水準に達しています。モルガン・スタンレーは、今後2008年の過去最高値を更新する恐れもあると警告しています。

さらに、社債市場でも異常事態が起きています。オラクルが発行した社債の利回りが、投資不適格とされる「ジャンク債」の平均利回りを上回る水準まで上昇しているのです。これは、プロの債券投資家たちが「オラクルにお金を貸すリスクは、ジャンク債並みに高い」と判断していることを意味します。株式市場よりも冷静でシビアな債券市場から、真っ赤な警告ランプが点滅しているのです。

最悪のシナリオ:もしオラクルが倒れたら?

可能性は低いと信じたいところですが、もし万が一、オラクルがデフォルト(債務不履行)に陥った場合、その影響は計り知れません。

まず、現在のAIブームに冷や水を浴びせるどころか、致命的な氷水をぶっかけることになるでしょう。オラクルはAIインフラを支える超重要プレイヤーの一人です。その柱が折れれば、AI関連企業への投資マネーは一斉に引き上げられ、AIバブル崩壊の引き金になりかねません。

影響はそれだけでは済みません。オラクルは金融機関を除けば世界最大級の社債発行体であり、世界中の年金基金や保険会社がオラクルの社債を保有しています。これらが紙屑同然になれば、金融システム全体で信用収縮が起こり、リーマンショックのような世界的な金融パニックを引き起こす可能性もゼロではないのです。

投資家はどう向き合うべきか:見るべき「レンズ」を変えよう

では、私たち個人投資家は今のオラクルとどう向き合えばいいのでしょうか。結論から言うと、オラクルを見るための「分析のレンズ」を根本的に変える必要があります。

これまでは「AIの成長に乗るソフトウェア企業」として、売上高の成長率に注目していれば十分でした。しかし、そのフェーズは終わりました。今のオラクルは、巨額の借金をして物理的なインフラを建設する「重厚長大な設備投資会社」に変貌したのです。

今後は、売上の伸び(アクセル)よりも、財務の健全性(ブレーキ)がちゃんと効いているかを確認するステージに入ります。具体的には、以下の3つの指標を厳しくチェックする必要があります。

  1. フリーキャッシュフロー(FCF)この大赤字が縮小に向かうのか、拡大し続けるのか。企業の延命に関わる最重要指標です。
  2. ネット・デット/EBITDA倍率これは「実質的な借金が、本業で稼ぐ力の何倍あるか」を示す指標です。会社の返済能力を測る物差しであり、これが悪化し続けるようなら危険信号です。
  3. 格付け機関の動向S&Pやムーディーズが実際に格下げに動けば、市場の動揺は避けられません。

AIというテーマは魅力的で、未来を感じさせます。しかし、その期待感だけで前のめりになるのではなく、足元の財務状況を冷静に見極める「財務規律」という視点が、今ほど重要な局面はありません。

オラクルはこの莫大な投資を成功させて再びAIの覇者として輝くのか、それとも投資の重さに耐えきれず沈んでしまうのか。まさに歴史的な岐路に立っていると言えるでしょう。投資家の皆さんは、今はまず財務を徹底的に監視すべき銘柄として、位置付けを再考する時期に来ているのかもしれません。


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