みなさんこんにちは。本日10月22日の早朝に発表された動画配信大手「Netflix(ネットフリックス)」の2025年第3四半期決算は、「光と影」がはっきりと分かれた、非常に興味深い内容でした。
市場が閉まった後の時間外取引では、株価が一時「約6%」下落するという反応を見せましたが、その要因を深く掘り下げると、本業の力強さは健在であることが見えてきます。今回の決算発表から読み取れる、Netflixの現状と今後の成長戦略について、詳しく解説していきます。
売上は力強く成長、しかし利益は予想外の失速
まず、ポジティブな「光」の部分は、トップラインの成長力です。
売上高は115億1千万ドルを記録し、前年同期比でなんと17%もの増加となりました。これは市場の予測ともほぼ一致しており、Netflixがコンテンツ制作とプラットフォーム運営を通じて、依然として強固な収益力を維持していることを示しています。
一方、「影」となったのは、一株当たり利益(EPS)です。実績は5.87ドルと、前年同期比では9%の増加となったものの、市場が期待していた6.97ドルという水準には大きく届きませんでした。この利益の未達が、決算発表後の株価下落を招いた直接的な要因と考えられます。
利益失速の真の要因は「一時的」な巨額税金費用
では、なぜこれほどまでにEPSが予想を下回ったのでしょうか。その答えは、Netflixのビジネスの根幹にある構造的な問題ではなく、ブラジルにおける突発的な税金関連費用という、非常に特殊かつ一時的な要因にありました。
具体的には、過去の取引(2022年から2025年第3四半期までの期間)に関連する約6億ドル(日本円で約900億円近く)の巨額な費用が、この第3四半期に計上されたのです。
会社側は、この一時的な税金費用がなければ、営業利益率は目標としていた31.5%を上回っていただろうと説明しています。つまり、本業の収益力自体は非常に好調であり、今回の利益の未達は、過去の清算が一括で行われた一過性のイベントとして捉えるべき、というメッセージを発しているわけです。グローバルに事業を展開する多国籍企業にとって、税務リスクは常に存在しますが、会社側は将来の業績に重大な影響はないと明言しており、投資家としてはこの見解を冷静に見極める必要があります。
コンテンツ力は過去最高水準、新規事業も着実に前進
本業の力強さを支えているのは、やはり「コンテンツ」の圧倒的なパワーです。
今回の決算期を牽引したのは、アニメの「KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ(KPOP: Demon Hunters)」です。なんと再生数は3億2500万回を超え、Netflixオリジナル映画として史上最も視聴された作品となりました。また、ドラマ「ウェンズデー」シーズン2(1億1400万回再生)や、アダム・サンドラー主演の映画「ギルモア2」(1億2600万回再生、米国ストリーミング視聴時間新記録)といった大ヒット作がコンスタントに生み出されています。
さらに、プロボクシングのビッグマッチ中継では、今世紀の男子タイトルマッチで世界推定4100万人以上が視聴するという新記録を樹立しました。こうした強力なコンテンツ群の結果、アメリカとイギリスの主要市場において、テレビの総視聴時間に占めるNetflixのシェアは、四半期ベースで過去最高を記録しています。
また、広告付きプランの収益も過去最高を記録しており、2025年通年では前年比で倍増する見込みだという、強気のガイダンスが示されています。NFLのクリスマスゲーム2試合の独占配信や、家族で楽しめる新しいパーティーゲームの発表など、動画視聴以外の新しい収益源の育成も着実に進められています。
極めて好調なフリーキャッシュフローが示す財務的な安定性
今回の決算で最も注目すべきポジティブな点は、企業の財務的な健全性と成長力を示すフリーキャッシュフロー(FCF)の力強さです。
Netflixは、2025年通期のFCF見通しを、従来の80億〜85億ドルのレンジから、一気に約90億ドルへと大幅に上方修正しました。この潤沢なキャッシュフローがあるからこそ、コンテンツ制作への巨額の投資(「ストレンジャー・シングス」最終シーズンなども控えています)や、積極的な自社株買い(第3四半期に19億ドル規模を実施)といった株主還元を積極的に行えるわけです。この強力なキャッシュ創出力こそが、Netflixの最大の強みであり、今後の成長戦略の基盤となります。
今後の投資戦略
今回の決算は、一時的な税金費用というノイズがあったものの、コアビジネスの力強さ、売上成長の勢い、そしてキャッシュ創出力の高さが再確認できる内容でした。
今後は、本業のコンテンツ力を維持しつつ、広告、ライブイベント、ゲームといった新しい収益の柱が、どれだけ太く、早く育っていくのかが、Netflixの成長の鍵を握るでしょう。競合との競争は激化していますが、明確な戦略と強固な財務基盤を持つNetflixが、次世代のエンターテイメント帝国をどのように築き上げていくのか、引き続き注視していく必要があります。
