リスナーの皆様、こんにちは。今回は、フィンテック業界の中でも特に注目度の高い「SoFi Technologies(ソーファイテクノロジーズ、ティッカーシンボル:SOFI)」が発表した、2025年第3四半期の決算速報について、詳しく見ていきたいと思います。
この決算、一言で言えば「まさにソーファイな内容」でした。市場の期待を大きく上回り、多くの指標で過去最高を更新、さらに通期の見通しも大幅に上方修正するという、非常に力強い結果を出しています。
過去最高を記録した力強い業績
まず、主要な業績指標から見ていきましょう。
- 調整後純収益は過去最高の9億5,000万ドルを達成し、前年同期比で38パーセントの増加となりました。これはアナリスト予想を上回る数字です。
- **調整後EBITDA(利払い・税金・減価償却費控除前利益)**も過去最高の2億7,700万ドルとなり、前年同期比でなんと49パーセント増と、驚異的な成長率を示しています。
- GAAPベース(米国会計基準)の純利益は1億3,900万ドルで、前年同期比129パーセント増となりました。これにより、SoFiは8四半期連続のGAAP黒字を達成しました。単なる成長だけでなく、持続可能な収益モデルが確立されつつあることを示しており、市場からの評価も高まる大きな要因と言えます。
- **調整後EPS(1株当たり利益)**も0.11ドルと、予想の0.08ドルを大きく超えました。
売上も利益も予想を超え、過去最高を更新するという、まさに記録ずくめの決算となりました。
顧客基盤の拡大と「ワンストップショップ」戦略の成功
この好調な業績を支えているのが、顧客基盤の目覚ましい拡大です。
- 新規会員数は第3四半期だけで過去最高の90万5,000人を記録し、総会員数は1,260万人、前年比で35パーセントの増加となりました。
- 会員が利用するプロダクト数も伸びており、総プロダクト数は1,860万件、前年比36パーセント増です。
特筆すべきは、新規プロダクト追加の約40パーセントが、既存の会員による追加利用である点です。これは、SoFiが目指す「ワンストップショップ」戦略、つまり一つのプラットフォームで多様な金融サービスを完結させるという戦略が、着実に成果を上げていることを示しています。顧客がSoFiのプラットフォーム内で次々と新しいサービスを試しており、顧客ロイヤリティの高さとプラットフォームの利便性が証明されています。
収益構造の進化と「LPB」事業の急成長
今回の決算で特に注目すべきは、収益構造の質の向上です。
- 手数料ベースの収益が、これも過去最高の4億870万ドルに達し、前年同期比で50パーセント増となりました。調整後純収益全体に占める割合も43パーセントまで上昇しています。金利収入だけに頼らない、安定した収益源が育っていることは、収益の質が向上し、金利環境に左右されにくいビジネスモデルへと進化している証拠と言えるでしょう。
さらに、その手数料収入を牽引しているのが**ローンプラットフォーム事業(LPB)**です。
- LPBは、SoFiが自社でリスクを取らずに、他の金融機関などのためにローンを組成し、手数料を得るという「キャピタルライト」なビジネスモデルです。
- このLPBを通じたローン組成額は34億ドルに達し、事業からの収益は前年同期のなんと2.75倍に急成長しました。
LPBの急成長は、SoFiが単なる消費者向け金融企業ではなく、「金融インフラを提供するプラットフォーマー」としての側面を強化していることを示しています。自己資本を効率的に使いながら成長できる、非常に賢明な戦略と言えます。
健全性が示されたリスク管理と財務基盤の強化
ローン事業が主力である以上、信用リスクの管理は非常に重要ですが、ここでも健全性が示されました。
- 個人ローンと学生ローンの年率償却率(貸倒れ率)が、前の四半期と比べて20ベーシスポイント以上改善しました。
- 90日以上の延滞率も前の四半期からほぼ横ばいで推移しています。
- また、銀行ビジネスの基盤である預金も順調に増加し、総金額は329億ドルとなりました。その約9割が給与振込などの「ダイレクトデポジット」会員からのものであり、低コストで安定した預金基盤を確立しています。
そして、**有形自己資本(タンジブルブックバリュー)**も前期比で19億ドル増えて72億ドルに達しました。これは、企業の財務的な安定性が高まり、将来の成長投資や規制強化への備えが万全になりつつあることを意味します。
将来への自信を示すガイダンス上方修正
これだけの好決算を受け、市場の反応もポジティブでした。そして、さらなる期待を高めたのが、経営陣の自信の現れとも言える通期見通しの大幅な上方修正です。
- 調整後純収益の見通しを約33億7,500万ドルから約35億4,000万ドルへと引き上げました。
- 年間の成長率の見通しも30パーセントから36パーセントへと修正しています。
特に驚きを持って迎えられたのが、有形自己資本の年間増加額の見通しです。従来の約6億4,000万ドルから、一気に約25億ドルへと、約4倍近くに引き上げられました。これは、単に利益を積み上げるだけでなく、それをはるかに上回るペースで自己資本を強化していくという強いメッセージであり、将来のM&Aや大きな成長投資への布石とも考えられます。
成長ストーリーの魅力と潜在的なリスク要因
このようにSoFiは力強い成長ストーリーを描いていますが、投資を検討する際には潜在的なリスク要因にも目を向ける必要があります。
- バリュエーションと株価の過熱感:年明けから株価が大幅に上昇していることを踏まえ、今回の好決算やガイダンス情報修正がすでにどの程度株価に織り込まれているのか、慎重な評価が必要です。
- 信用リスク:ローン事業が主力であるため、今後の景気後退や失業率の上昇などがあれば、延滞や貸倒れが増加する可能性は否定できません。
- 規制と競争環境:フィンテック企業は規制当局の動向に大きく左右されます。また、大手既存銀行のデジタル化や他のフィンテック企業との競争も激しく、競争優位性を維持し続ける必要があります。
- マクロ経済の影響:金利動向や景気全体の状況は、消費者の借り入れ意欲や返済能力に直結し、業績に直接的な影響を与えます。
まとめ
今回のSoFiの第3四半期決算は、売上、利益、顧客基盤、収益構造の質など、あらゆる面で過去最高を更新し、通期見通しも大幅に上方修正された、極めて好調な内容でした。特に、手数料収入の増加と、資本効率の良いLPB事業の急成長は、事業の多角化と収益構造の安定化が進んでいることを示しています。
ただし、投資を検討する際は、年明けからの株価上昇を踏まえたバリュエーション、そして信用リスクや競争環境といったリスク要因を総合的に考慮することが重要です。この力強い成長ストーリーの魅力と、潜在的なリスクの両方を理解した上で、ご自身の投資方針と照らし合わせて判断することが大切になります。
