「OpenAI」が史上最大の150兆円上場の噂! 儲かる人・儲からない人、そして投資家が考えるべきこと

こんにちは。今回は、世界中の注目を集めているAIの巨人、「OpenAI(オープンAI)」の話題を深掘りしていきたいと思います。

「OpenAIが史上最大の1兆ドル(約150兆円)規模で上場する」という噂が報じられ、もしこれが実現すれば、未上場企業としては歴史的な快挙となることは間違いありません。このとてつもない規模のIPO(新規株式公開)の噂の背景にあるOpenAIの組織変革と、その富によって一体誰が大きな利益を得ることになるのかについて、見ていきましょう。

崇高な理念から始まったOpenAIの現実的な変遷

OpenAIは、元々2015年に「人類全体に利益をもたらすAIを安全に開発する」という、非常に崇高な理念を掲げた非営利団体としてスタートしました。しかし、彼らが目指す汎用人工知能(AGI)の開発には、スーパーコンピューターのような計算資源や、世界トップクラスの研究者の人件費など、想像を絶するほどの資金が必要だと判明しました。

この理想と現実のギャップを埋めるため、OpenAIは舵を切ります。2019年に、投資家へのリターンに上限を設ける条件付きの営利目的の子会社を設立。さらに2025年10月には、公益法人(PBC)という形態の「OpenAIグループ PBC」へと組織を再編しました。これは、株式会社のように利益を追求しつつも、「人類全体への利益」という設立当初の社会的使命を法的に義務付けられるハイブリッドな仕組みです。

このPBCという形になることで、柔軟かつ大規模な資金調達や企業買収(M&A)が可能となり、今回の巨大なIPOの噂も現実味を帯びてきたと言えます。

150兆円の規模感と最大の受益者たち

ロイター通信などが報じたOpenAIのIPOの噂は、早ければ2026年後半にも申請を検討し、その企業価値が最大で約153兆円に達する可能性があるというものです。

もし実現すれば、日本のトヨタ自動車(時価総額約50〜60兆円)の2.5倍から3倍という途方もない規模です。もちろん、AI半導体で世界を牽引するNVIDIA(約760兆円)や、Microsoft、Appleといった巨大テック企業(約600兆円)には及びませんが、それでもいきなり世界トップクラスの仲間入りとなるスケール感には驚かされます。

では、この巨大な富を最も手にするのは誰なのでしょうか。

最大の受益者は「Microsoft」か

OpenAI株の約27パーセントを持つ大株主であるMicrosoftは、累計130億ドル以上を投じ、その価値はすでに10倍以上に膨れ上がっていると言われています。

単なる投資の成功だけではありません。

  1. 技術の独占的アクセス: Microsoftは、OpenAIの最先端AIモデルへのアクセス権(IPライセンス)を2032年まで延長する合意を得ています。
  2. 自社クラウドの爆発的売上: さらに、OpenAIがMicrosoftのクラウドサービス「Azure」をなんと追加で2500億ドル分も購入するという契約を結んだと報じられています。

これは、OpenAIの成功がMicrosoftの企業価値向上に貢献するだけでなく、技術面、金融面、事業面、その全てにおいて計り知れない利益をもたらす「最強の布陣」と言えるでしょう。

次に大きな利益を得るのは「ソフトバンクグループ」?

孫正義会長はOpenAIへの投資を「ASI(人工超知能)時代のど元になるためのオールイン」とまで表現し、最大で総額4.8兆円規模の投資をコミットしています。OpenAIの成長が計画通りに進めば、ソフトバンクグループの株価にも極めて大きな影響を与える可能性があります。まさに社運をかけた、ハイリスク・ハイリターンな大勝負です。

この他、非常に早い段階からリスクを取って投資した初期のベンチャーキャピタルや、ストックオプションなどで株を保有する従業員たちも、上場によって人生を変えるほどのインパクトを受ける可能性があります。

儲からない「二人の超大物」の事情

一方、OpenAIの成功によって直接的な利益を得ない超大物もいます。

CEOのサム・アルトマン氏です。

彼は、OpenAIの株式を直接は保有していないと明言しています。これは、CEO自身が個人的な金銭的利益を追求するインセンティブを持たないようにするためとされています。彼の真の関心は、AGIを実現すること、そして彼自身の投資会社を通じて、人類の未来を根本から変える可能性のあるディープテックに投資することにあるようです。目先の利益ではなく、長期的なビジョンを追う、スケールの大きな野望を持っていると言えるでしょう。

共同創業者のイーロン・マスク氏です。

2015年の設立時メンバーでしたが、2018年にOpenAIの役員を辞任して組織を離れています。その後、OpenAIが営利へと舵を切ると、「設立時の非営利の使命に反する」として厳しく批判し、訴訟まで起こしました。現在は、OpenAIに対抗するため独自のAI企業「X AI」を立ち上げ、ライバルとして競争を挑んでいます。このため、マスク氏は現在のOpenAIの株主である可能性は極めて低く、今回の巨大な上場の噂では利益を得ないどころか、むしろ面白くない立場にあると言えるでしょう。

上場のメリットと乗り越えるべき課題

OpenAIにとって上場は、莫大な資金調達力を手に入れ、AGI開発の競争を加速させる強力な武器となります。また、上場企業の株式やストックオプションは、世界中から優秀な人材を獲得・維持するための魅力的なインセンティブともなるでしょう。

しかし、その道のりには大きな課題もあります。

  1. 理念と利益の衝突: 上場企業となることは、常に市場(株主)からの短期的な利益追求の圧力にさらされることになります。「人類全体のために」という本来の崇高なミッションと、短期的な業績向上という現実的な目標との間で、どのようにバランスを取り続けるのかは、非常に大きな注目点でありリスクでもあります。
  2. 規制と訴訟の嵐: AIの影響力が社会に及ぶにつれ、規制当局の監視は厳しくなります。特に独占禁止法やプライバシー保護、そして学習データに著作権で保護されたコンテンツが無断で使われたのではないかという著作権侵害に関する多くの訴訟は、OpenAIのビジネスモデルの根幹を揺るがしかねない重大なリスクです。
  3. 倫理的な懸念: 最近特に議論を呼んでいるのが、AIの軍事利用に関する姿勢の変化です。設立当初の理念と相反する、防衛機関との連携プロジェクトなどが報じられており、こうした倫理的な課題に対する説明責任と透明性が、今後ますます強く求められることになります。

個人投資家としてどう考えたら良いか

OpenAI自体は未上場のため、私たちが現時点で直接投資することはできません。しかし、OpenAIの成長に間接的に賭けるという意味で、Microsoft株やソフトバンクグループ株が選択肢となります。

  • Microsoft株: OpenAIとの結びつきは最強ですが、Microsoftはすでに時価総額が4兆ドルを超える巨大企業です。OpenAI関連の成功は、巨大な事業ポートフォリオ全体の中では相対的に限定的なインパクトに留まる可能性もあります。株価は、AI以外の既存事業の動向や世界経済全体の状況など、多くの要因に左右されます。
  • ソフトバンクグループ株: 成功した場合の株価へのインパクトはMicrosoftよりも大きい可能性があり、まさにハイリスク・ハイリターンな投資と言えます。しかし、OpenAIへの投資が期待通りに進まなかった場合のリスクも大きく、さらにビジョンファンドの業績や有利子負債の状況など、OpenAI以外の複雑な要因も株価に大きな影響を与えます。

どちらの株を選ぶにしても、それはあくまでOpenAIの間接的な株主になるということであり、OpenAIそのものに投資するのとはリスクもリターンも異なります。最終的な投資判断は、ご自身の考えとリスク許容度に基づいて慎重に行っていただく必要があります。

「全人類の利益のために」という非営利の理想から始まり、莫大な開発資金を求めて営利化を進め、最終的に公益法人という形に落ち着いたOpenAIの変遷は、AIという革命的な技術が生み出すであろう巨大な富を、社会全体でどう分かち合い、コントロールしていくのかという、現代社会が直面する大きな問いを象徴しているように感じます。

このAIが加速させる未来で、OpenAIがどのような壮大なドラマを繰り広げるのか。今後の動向から目が離せませんね。


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